修復された絵画があまりに違いすぎる
先日、ベルギー・ヘントにある聖バーフ大聖堂の『ヘントの祭壇画』の一部修復作業が終わり公開されたのだが、あまりにも違いすぎて世間がザワついているという。
問題となっているのは内装下段中央にある『神秘の子羊』の部分である。
ちょうつがいで開閉できる12枚のパネルで構成されたヘントの祭壇画の主題でもあるこの部分は、祭壇に捧げられた生贄の子羊の周りを14名の天使が囲んでいるものだが、修復された羊をご覧いただきたい。
Uh, so apparently they restored the Ghent Altarpiece and pic.twitter.com/JljwfEZlzu
— Fʀ. A. J. D. S. (@frajds) January 20, 2020
目!!!
全体的に見ても修復前の羊とは違うのだが、美術評論家たちの間で「なんだこの目は!?」との声が上がっているという。
実はこれが本来の姿だった!?
1432年にヤン・ファン・エイクと兄のフーベルト・ファン・エイクによって完成されたと言われているこの作品は、板に油彩で描かれた初期フランドル派絵画を代表する作品の一つである。
修復作業は3年に及び、公開を楽しみにしていた美術愛好家の人たちも多かったことだろう。
だが、修復された羊は目が人間のように中央に寄り明らかに位置も形も変わっている。鼻や口もキュッと上に上がり微笑んでいるかのようにさえ見えるのだ。
とはいえ、今回の修復作業はあくまでも本来の姿を取り戻すためのもの。
たとえば羊の耳に注目するとお分かり頂けると思うが、修復前の耳は4つあるようにも見える。これは幾度にもわたる上塗りが原因であり、この修復作業はこれまでパネルに上塗りされてきた絵の具を除去する作業を集中的に行うものであった。
ということは、15世紀を生きた人たちに見えていた本来の羊はこのような姿だったのだろうか。
今年はファン・エイク記念年としてベルギーでは多くのイベントが開催されているという。もちろんその目玉はヘントの祭壇画になるはずだが、興味のある方は是非現地で実物をご覧になってみては。
参照元:Twitter