イタリアのマフィアが住民に無料の食料を提供
イタリアは新型肺炎の影響で深刻な打撃を受けており、低所得者層の中には食料にすらありつけない人々もいるという。
これを受け、イタリア国内のとある組織が、無料の食料の提供に乗り出した。
それはなんと、マフィアだった。
この出来事が相次いだのは、イタリア南部のカンパニア州、カラブリア州、そしてシチリア島。
この数週間、マフィアの構成員と見られる者たちが、生活必需品や食料を無料で配達しているという報告が上がっているという。内容物は主に、パスタや水、小麦粉、牛乳の入った小包だったという。
反社会勢力に詳しい専門家のニコラ・グラテッリ氏は、英紙「Guardian」の取材に対しこのように話す。
「ここ1ヶ月以上に渡り、小売店やカフェ、飲食店などはすべて閉店しています。
収入を得ることができず、いつ職場復帰できるかすらわからない。多くの人々が先行きが見えない状況にいます。政府は支援の一環としていわゆる商品券を発行しています。
ですが、もし州が素早い援助を行わない場合、マフィアがそのサービスを提供し、人々の生活を支配しようとするでしょう。」
イタリアの中小企業対象の労働組合「CGIA Mestre」の発表では、イタリア各地のロックダウンの影響は、推定330万人以上にものぼっており、このうち約100万人以上が南部在住だという。
マフィアたちの目的とは
この煽りを受けてか、3月27日にも南部シチリア島でもスーパーマーケットへに強盗が入り食料が奪われるなどの事件が発生しているほか、銀行が火炎瓶で襲撃される事件も起きている。これらにも、マフィアの関与が疑われているという。
イタリアの内務大臣は、「マフィアは貧困の拡大を利用して、組織に人を引き込もうとしている可能性がある」と述べている。
カンパニア州ナポリでも、すでにカモッラ・ファミリーの構成員が食料品の配達を開始していることがわかっており、地域で存在感を強めている。現地当局は、食料品を受け取った地元住民に聞き込みを行なっているという。
また、伊紙「La Repubblica」も、シチリア島パレルモにて、コーサ・ノストラのボスの兄弟にあたる人物が、マフィア勢力内にある地域の貧困層に食料を配ったと報じている。
これに関して、専門家のニコラ・グラテッリ氏はこのように語る。
「人々の目を通すと、ドアを叩いて無料の食事を提供してくれるマフィアのボスはヒーローのように見えるでしょう。それに、彼らは自分の勢力地域で援助を必要としている世帯をしっかり把握している。
そうすることで、マフィアを支持するようになった人たちは、犯罪を無視し、彼らの息のかかった政治家に投票するようになる可能性があります。」
このように、マフィアが提供しているものはただの慈善事業や贈り物ではないと強調している。寄付などが続けば、いずれ麻薬取引や銃犯罪が看過される可能性があるという。
専門家らは、イタリア政府は早急な援助を行ったうえで、1日でも早い新型肺炎の収束を目指し、人々が復職できるようにするべきだと明かしている。
このままマフィアを野放しにしていれば、肺炎の脅威が過ぎ去った後も危険な社会に逆戻りしてしまうだろう。
参照元:The guardian、Youtube [1]、[2]