胸に詰めたシリコンが銃弾の軌道を変えた
今月、SAGE医学ジャーナルで発表された”極めて稀なケース”が話題となっている。
それは、銃で撃たれた女性が、胸に詰めたシリコンのおかげで奇跡的に助かったというものだ。
A woman who survived a close-range gunshot wound to the chest was saved because of her silicone breast implants, doctors believe. https://t.co/50tuPyo8xY
— CNN (@CNN) 2020年4月21日
事件が起きたのは2018年、カナダの首都トロントでのこと。当時30歳だった女性は何者かにより胸部を至近距離から撃たれたとのことだが、その銃弾が胸に詰めていたシリコンにあたり軌道を変えたのだという。それにより、左胸を撃たれたものの銃弾はシリコンに当たった衝撃で右側に外れ、女性は右側の肋骨を骨折をしたのである。
もし左胸にそのまま当たっていれば、心臓や肺などの臓器を傷つけ深刻な状況になっていたかもしれない。今回の研究の共著者である外科医のジャンカルロ・マクベニュー氏は、「シリコンが弾丸の軌道に変化をもたらしたようです」とインタビューに答えている。
世界初の症例に医学誌で発表
米国で承認されている乳房インプラントには2種類あり、どちらもシリコンの外殻ではあるものの、中身は生理食塩水が詰められたものとシリコンゲルが詰められたものとがある。
以前の研究において、生理食塩水のインプラントは銃弾の速度を遅くし、シリコンゲルのインプラントは銃弾を止める可能性があることが述べられていたが、実際にシリコンが銃弾の軌道を変えたという症例は世界初だったようで同医学誌での発表となった。
当時、女性は至近距離で撃たれたにもかかわらず病院へは自力で歩いて行けるほどだったという。通常なら豊胸手術や乳房再建手術のために使われるシリコンインプラントが、まさか命を助けるのに一役買ってくれるなんて夢にも思わなかったことだろう。
参照元:Twitter、NewYorkPost