10時間も一人で掃除を続けていた高校生
全米に広がっている「Black lives matter」は、平和的なデモもあれば、無関係の暴徒が混ざり込み略奪や破壊が始まることもある。そうなれば、通りはゴミだらけになってしまう。
そんな荒れ果てたデモ現場を、何時間もかけてたった一人で掃除していた高校生がいた。
朝早くから掃除に取り掛かっていた一人の青年
取り上げられているのは、ニューヨーク州バッファローに住むアントニオ・グウェイン・Jrくん(18)。地元の学校に通う高校三年生である。
6月7日の日曜日、彼が住む通りでもデモが行われていたが、道にはガラス片やペットボトル、消毒液の空きボトルなど・・・ポイ捨てや破壊行動によってゴミだらけになっていた。
そこで、グウェインくんは翌朝午前2時より掃除にとりかかったのである。
しかも、10時間にわたって休みなく掃除を続けていたため、地元の有志のグループが到着した時には、すでに綺麗になっていたという。彼の行いはすぐさま近隣住民の間で広まり、その中の一人の男性がなんとか恩返しをしたいと名乗り出た。
彼にプレゼントされたのは、なんと赤のGTクーペ。
この驚くべきプレゼントをしたのは、同じく地元に住むマット・ブロックさん(27)。グウェインくんが過去にフェイスブックにて、車の買い方について質問していたことから、スポーツカーをあげることを決心したのである。
しかも驚くべきことに、この赤のマスタングは、グウェインくんが2018年に亡くしたお母さんが持っていた車と全く同じ車種だった。小さい頃から、お母さんの乗る車に憧れを抱いていたという。
これにはグウェインくんも強い衝撃を受けたそうで、CNNのインタビューでは「言葉にできなかった。あまりの偶然に鳥肌がたった」と明かしていた。
更に、地元で自営業を営むボブ・ブリスランドさんからは、保険代理店を通して一年分の自動車保険の延長が行われた上に、地元バッファローの大学に、条件付きで四年間の奨学金の支払いを約束されたという。
グウェインくんの善行が注目を浴びたのは今回が初めてだが、これまでにも地域のために様々な活動を行ってきていた。
クリスチャン系の学生団体「カッパ・ファイ」に所属しており、普段から教会の手伝いや公共福祉活動に参加したりと、地元への奉仕活動に取り組んでいたという。
これまで影で積み重ねてきた行動が実ったのだ。亡きお母さんと同じ車種だったことに、何か運命のようなものを感じてしまう筆者であった。