葬儀でサッカーボールを棺に蹴る
6月11日、メキシコ南部オアハカ州で銃殺された16歳少年の葬儀が執り行われたのだが、その様子が著名人や海外メディアなどによってシェアされ、多くの人の心を揺さぶっている。
葬儀に集まった人たちは少年の亡骸の入った棺を中央に取り囲んだ。
そしてそこにはなぜかサッカーボールが持ち込まれた。少年は棺に向かってボールを蹴り、跳ね返ったボールはそのままゴールの中に吸い込まれて行くのである。
Así despiden en Oaxaca a Alexander, el joven de 16 años asesinado por policías municipales.
Sus compañeros lo honran con su último gol.
Todos estamos llorando. pic.twitter.com/1hbhyl5Mt6
— Guillermo Schutz (@memo_schutz) June 12, 2020
そして、ゴールが決まると周囲から歓声が湧き上がるとともに、同年代の少年たちが棺に駆け寄り号泣するのだ。
サッカー選手を夢見た少年が誤射で死亡
地元メディアの報道によると、亡くなった少年アレキサンデル・マルティネスさんは、9日夜にソーダを買いに行くためバイクに乗って友人と出かけたという。だがその帰り道、彼らを麻薬組織だと勘違いした警察官により、頭部を銃撃され命を落としたのである。
地元のサッカーチームで活躍していたアレキサンデルさんの夢はサッカー選手になることだったが、その夢は絶たれてしまった。チームメイトたちは悲嘆にくれながらも、アレキサンデルさんが決める最後のゴールをみんなで見届け、これまでの彼の功績を讃えようと、そんな気持ちでこのような葬儀になったのだという。
当局の発表によると、今回の事件は誤射だったことを認めているというが、たった16年という短い生涯を終えてしまったアレキサンデルさんや家族、そして友人らの悲しみや憤りは言葉では言い表せれないだろう。
メキシコでは警察の暴力に対し抗議や不満の声が爆発しているといい、今回の事件でその体制が改めて浮き彫りとなった。愛する家族や仲間たちに見守られながら最期のゴールを決めたアレキサンデルさんの冥福を祈るとともに、このような悲しい事件が二度と起きないことを願ってやまない。
参照元:Twitter、NewYorkPost