パキスタンのパイロットの3人に1人が不正な免許
たくさんの人の命を預かるパイロットは、日本では平均15年の長期の訓練が必要とされる。他の国でもライセンス取得には厳しい条件が課せられているが、恐ろしいことに、パキスタンではその限りではないらしい。
6月25日にCNNが報じたニュースによると、パキスタン航空省の調べで、およそ30%以上の民間パイロットが航空免許を偽装していたことが発覚したという。
航空相サーワー・カーン氏によると、偽装が判明したのは262名のパイロット。彼らは自分自身で試験を受けず、雇った人を使い替え玉受験をし、操縦経験がないまま不正に免許を取得していたのである。
パキスタンで有効となっているパイロットは860人で、国内だけではなく国外でも働いている。対象となる262名のパイロットの免許は即時に停止となったという。
また、パキスタン民間航空局の職員も不正に関与していたことが疑われているという。
原因となった凄惨な事故
この調査は、6月22日に首都カラチで発生した、パキスタン国際航空の墜落事故を受けて行われた。
レポートによるとその日、同機はラホールを出発後、パイロットはコロナウイルスの話題に夢中で操縦に集中しておらず、管制からの警告や機体が発する警報を繰り返し無視していたという。
その後、カラチの空港に着陸しようとしたが、管制は「高度が高すぎる」と3回にわたって警告。ところが、パイロットはこの指示に注意を払わず胴体着陸。その際、着陸装置の車輪の不備も発生しており、管制側もエンジンの損傷をパイロットに伝えていなかった。
更にエンジンが滑走路に擦れ甚大な損傷を受けたが、パイロットは再度離陸。しかしエンジンは故障し停止しており、墜落してしまった。この事故では乗員・乗客99名のうち、97名が火災によって亡くなったという。
事故後の調査では、管制官とパイロットの両方に問題があったとし、航空相は「機長は自信過剰だった」と述べた。この時のパイロットが免許偽装だったかどうかは明らかにされていない。