14トンを記録し世界一の押収量に
今年6月下旬、イタリアの麻薬当局が、ISISが製造したとみられる14トンもの覚醒剤を押収した。合計で市場価格はおよそ10億ユーロ(1200億円)にのぼるとされ、過去最高の輸送量と輸送額になっている。
発見されたのは、イタリア南西部・サレルノにある港。地元の金融警察は容疑がかかっている3つの船の捜査に入っていた中、積載していた工業用の紙筒を調査したところ、大量のアンフェタミンを発見した。
ナポリ市の金融警察の司令官、ドメニコ・ナポリターノ氏はCNNに対し「錠剤は綿密に隠されており、港の検査では検出できなかった。カモッラファミリー(イタリアの犯罪グループ)への長期にわたる調査の結果、覚醒剤が到着することが判明した。」と語っている。
事前に警察は犯罪組織の電話ややりとりを傍受しており、覚醒剤の到着を予測していたという。
また、アンフェタミンの錠剤には「ジ・ハードの薬」であると区別できるよう「キャプタゴン」というロゴが入っていたという。キャプタゴンはかつて存在した医薬品名で今は製造も使用もされていない。このロゴが入った錠剤は、中東でよく押収されるということだ。
近年、ISISのテロ活動の資金源となっているのは、主にシリアで生産された合成薬。米国麻薬取締局(DEA)の調べによると、ISISは影響力を拡大しており、覚醒剤が流通するほとんどの国に広く使用されているという。
こうした合成薬は製造も簡単で、ヨーロッパの犯罪組織を通して販売でき、莫大な資金を調達できる。今回の錠剤の押収により、ISISの資金源と犯罪組織の利益の繋がりが完全に証明されたといえるだろう。