ヤマネコのワイルドな魅力が炸裂!?
人々の生活に身近なイエネコは、長い歴史の中で多くの種を絶滅に追いやってきた。
今回もそんなイエネコによって、ヨーロッパヤマネコが絶滅の危機に瀕しているが、その理由がひときわ変わっている。
それは、ヤマネコは、イエネコのメスにとって魅力的すぎるということ。交配が進むと、やがてヤマネコの遺伝的な特徴が永遠に失われてしまう可能性があるという。
この結果を発表したのは、スイス・ジュネーブ大学の生物学研究チーム。チューリッヒ大学と、イギリス・オックスフォード大学との共同研究で、ヨーロッパヤマネコのイエネコに対するワイルドな色気が、種の衰退を招く可能性があるとわかったという。
ヨーロッパヤマネコはイエネコの近縁種で、古くはヨーロッパ全域に広く生息していた。だが、イエネコとの交配や感染症、交通事故などで個体数は激減しており、絶滅が危惧されている。
今回問題視されているのは、スイスアルプス山脈北に位置するジュラ山脈に生息するヤマネコ。50年前までほとんど姿がみられなかったが、繁殖が再開し、目撃数が増えていたという。
だが、9月20日に発表した声明にて、合同チームは「ヤマネコと近縁種のイエネコの交雑によって新しい脅威が特定された」と発表。
想定では、今後200〜300年以内に交雑によって不可逆な遺伝子の置き換えが起こってしまうという。これはネコの寿命を考えると、数十世代で入れ替わると言える。
スコットランドとハンガリーではすでに交雑が進んでしまっており、すでにヤマネコとイエネコの区別がつかなくなってしまっている。スイスのヤマネコも同様の事態になる可能性があるとのこと。
なお、スイスではイエネコ100万匹以上に対し、ヤマネコは数百匹。研究によると、接触した両個体の5%〜10%が、すでに交雑種の子猫を産んでいるという。
研究によると、交雑の機会をできるだけ減らすことで、ヤマネコの保護が可能になるとしており、森林地帯に近い地域のメス猫は、避妊手術を受けさせることを促している。
これは、ヤマネコのメスがイエネコのオスと交尾するより、ヤマネコのオスとイエネコのメスが交尾するパターンが多いからだとされている。研究チームは、早期に対策を打つべきだと再三強調していた。