コロナ下のお葬式は変容している
コロナウイルスによって、人々が集まるお葬式は形がかわりつつあるが、ソーシャルディスタンスを守るためか、悲しむ人の隣に寄り添うこともできなくなっているという。
この映像は、イギリス・ロンドン郊外にあるミルトン・キーンズの葬儀場でとらえられたもの。投稿者のクレイグ・ビッグネルさんは、9月に父親を心臓発作で突然亡くし、お葬式を開いていた。
感染拡大を防ぐため椅子を離されている中、棺の前で悲しみにくれる母親に、クレイグさんは隣に行かずにはいられなかった。椅子を引いて母親に寄り添おうとすると、隣の遺族の男性や、2列目にいる人も椅子を持っていこうとした。
ところが、後ろから現れたのは葬儀場のスタッフ。
「すみません、すみません、椅子を戻してください!恐れ入ります!椅子を動かしてはなりません」と注意をし、彼らを母親から引き離した。
とても気持ちが敏感になっている時に、このような扱いを受けたクレイグさんはひどく心を痛めたという。
葬儀後、クレイグさんは映像をフェイスブックに投稿すると「レストランやパブでは隣あって座れるし、リムジンで6人で座って火葬場に行ける。なのに、こいつはお母さんを抱きしめたかったのに、『やめろ』といって引き離してきた。」と不満を訴えた。また、葬儀場にも苦情を入れたという。
これに対し、葬儀場を所有するミルトン・キーンズ評議会は「より考慮をするべきでした」と謝罪をしている。
イギリスで発効している現在の感染対策のルールでは、会葬者は30人までに制限されている。今回のお葬式でも、来たくても来れなかった人はいたはずである。
感染対策を優先すべきか、お葬式での感情を優先すべきか、非常に難しい問題である。