ログイン情報はしっかり管理しよう!
機密性の高いサービスでは、パスワードを一定回数間違えると不正ログインとみなし、アカウントの強制停止や削除となるものもある。しかし、本人が本気で忘れてしまったとなると、これほど危機的な状況はない。
今回、米サンフランシスコにお住まいのとあるエンジニアが、この危機に陥り200億円を失おうとしているらしい。
この災難に見舞われているのは、サンフランシスコで働くドイツ人プログラマー、ステファン・トーマスさん。
彼はウェブ上のデジタル・ウォレットに、およそ7002ビットコインを所有している。これはおよそ、228億円相当(2億2000万ドル)にものぼる。
ところがこの度、米紙「ニューヨークタイムズ」の取材において、パスワードを紛失してしまったため、財産にアクセスすることが困難になってしまったことを明らかにした。
彼はすでに8回試したというが、すべて不一致。更に恐ろしいことに、パスワードを10回間違えるとアカウントがロックされてしまうため、あとチャンスは2回しか残されていないのだ。
にも関わらず、ビットコインの取り扱いサイト側はユーザーのパスワードを自社サーバーに記録しない特殊なログイン法を取っているため、彼を助けることもできないという。ユーザーだけがアクセスできる独自のキーを作成できる仕様になっている。
危機に見舞われているトーマスさんは、ニューヨークタイムズに対しこう語る。
「私はただベッドに横になって考えるしかなかった。私はいくつかの新しい戦略を思いつき、パソコンに向かいましたが・・・うまくいきませんでした。そしてまた絶望しました。」
寝っ転がりまたトライしては絶望する・・・そんな気持ちがありありとわかるコメントである。
大切なパスワードをなくした理由
では、なぜここまで大量のビットコインを持っているのか?
その理由は、ビットコインが出てきた最初期である2011年に、トーマスさんは「ビットコインとはなんだ?」という紹介アニメを制作したこと。その報酬として、価値が低かった当時にもらったのだという。
しかしその際はビットコインに手をつけず、パスワードを書いた紙をどこかに紛失してしまったのだ。
だがその後、ビットコインにバブルが起こり、2021年1月には記録的な価格変動が起こった。トーマスさんの所有しているビットコインの値段は跳ね上がり、一躍億万長者となってしまった。
ちなみに、同様な理由で無駄になっているビットコインは非常に多く、これまでに全世界で約14兆円(1400億ドル分)のビットコインが放棄されているという。しかし、トーマスさんほどの高額単位は類を見ない。
どうにかして本人確認をし、200億円を彼に返して欲しいものだ。