ナチスドイツをテーマにしたサーカス!?
ロシアは”ボリショイサーカス”で知られるように、サーカス文化が盛んな国である。
人々を楽しませようと、毎回様々なテーマで公演が行われるが、今回のテーマは歴史的なタブーに触れたとして、当局が動くほどの騒ぎとなっているという。
テーマとなったのはなんと、ナチスドイツ。
これを開いたのは、ウドムルト共和国のサーカス。ロシア正教会からの委託を受け行われたものだという。その内容は、カーキ色の軍服のソ連兵士(赤軍)が、ナチスの隊服やシンボルをつけた動物を飼いならすというものだ。
ところが、ナチスドイツの勝利を物語るようなものと受け取られ、SNSで写真や動画が次々と投稿され、「ファシズムの勝利を強調している」と大きく反発する声があがった。
第二次世界大戦時に独ソ戦で激突し、多数の死者をだしただけあり、ロシアとナチスドイツが残した歴史的な因縁は深い。そのため、ロシアではナチスのシンボルの使用は法律で禁止されているというが、昨年度、否定的な意味で使われた場合のみ使用を許されるという法案が可決された。
一方で、サーカスの担当者は今回の炎上を受け、「パフォーマンスは、ナチスドイツの理想に対する世界的な非難を浮き彫りにしている」と述べ、こう反論している。
「サーカスアートの特徴は、エンターテイメントであるということを理解してもらう必要があります。
使用されている画像はとても皮肉で、時にはグロテスクなキャラクターが出てくることは特段驚くことではありません。
ショーはロシア正教会からの依頼によって作られたものです。
赤軍兵士の服を着たトレーナーが、ナチスのシンボルを身につけた動物を追いかけています。これは、モスクワをナチスから救ったことを表現しています。」
また、ナチスのシンボルは宣伝に使用されていないため、法律違反はしていないと主張している。
検察側はネット上の監視を続け、サーカス団を詳しく調査する方針を示しているという。