サッカー場に置かれた棺
今月はじめ、南米チリのサッカー場には多くの人が集まっていた。ゴール前には棺が置かれ、ひとりの男性がサッカーボールを棺に向かって思い切り蹴ると、棺に当たったボールは跳ね返りゴールへと突き刺さった。
ゴールが決まると歓声が起こり、周囲にいた人たちは棺へ駆け寄り、棺を叩いたり声をかけたりとそれぞれの方法で故人を偲んでいるのだ。
サッカー選手を弔う動画が拡散される
この棺の中で眠っていたのは、生前『アパリシオン・デ・ペイン』というチームに所属し、サッカー選手として活躍していたハイメ・エスカンダールさんだった。
昨年12月31日に37歳という若さで他界してしまったエスカンダールさんを弔うために、この日サッカー場にはチームメイトやサポーターら大勢が足を運んだ。そして、エスカンダールさんの最後のゴールを見届けたのである。
この悲しくもあたたかい動画は世界中で拡散されることとなった。動画を撮影した人は、エスカンダールさんは知名度はそこまでなかったものの、チームメイトやサッカーを愛する人たちを団結させ、ラテンアメリカの精神を見せつけてくれたと話している。
チームも公式Facebookで「哀悼の意と涙で祝福された特別なゴールとなりました。センターフォワードは天国から祝福を受けました。あなたの活躍を忘れることはありません。」と投稿し、エスカンダールさんに捧げた。
国や文化によって死者を弔う方法は様々だが、生前エスカンダールさんがどれほどチームメイトやサポーターらに愛されていたのかが伝わるこの動画は、国境を超えて多くの人の涙を誘っている。
参照元:YouTube、abc.net.au