動画のなかの変化にどれだけ気付く?
今、あなたの目の前に見えている景色だが、自分ではしっかりと見えているつもりでも、もしかすると多くの部分が見えていないのかもしれない。
今回ご紹介する動画は、2021年『Best Illusion of the Year contest(年間ベスト錯視コンテスト)』で二位を受賞した「部屋の変化」というものである。日本でもクイズ番組などでこの手の問題を目にする機会はよくあるので、馴染みが深いという人も多いかもしれないが、早速ご覧いただこう。
ここは、化学実験室の待合室です。この部屋の違和感を見つけてください。
約25秒の動画のなかで、動いたり変化したりするものにどれだけ気付いただろうか。
多くのものを見落としている可能性
動画最後の2つのクリップを比較したものを見れば、ラグやクッション、椅子、カーテン、バランスボール、天井、棚に並べられた物など、数えきれないほどの変化を見つけることができる。だが、それが動画のなかでゆっくりと変化していく場合には、なかなか気付くことができないのである。
この作品で受賞したマイケル・コーエン氏はMITとアマースト大学の科学者であり、学生らにこの現象を説明しようとしているときに、観察者の気付かないところで何十ものアイテムを変えることができることに気付いたのだという。これは段階的な変化の見落としであり、注意深く見ていなければその変化を見落としてしまうことで起きる錯視なのだ。
人は自分が思っているよりもはるかに多くのものを見落としており、同時に普段の生活のなかでいかに注意を怠っているかということも認識させられる。そしてそれは、今自分に見えている世界がすべてではないということにもつながるのだろう。