【奇跡の男、亡くなる】交通事故による19年間の昏睡から目覚め、回復したアメリカ人男性が永遠の眠りにつく。

事件

19年間昏睡状態に陥った後に目覚め、「奇跡的の男」と呼ばれたアメリカ・アーカンソー州の男性が亡くなった、と4月4日付けの米NBCニュースなどが報じている。

男性の名は、テリー・ウェイン・ウォリス氏。58歳の誕生日のちょうど1週間前、先月29日にサーシーのアドバンスドケア病院で友人や家族に囲まれて永遠の眠りについた。死因は現時点では不明のようだ。

19年間昏睡した後、目覚めた男

1984年7月、ウォリス氏は自動車事故で昏睡状態に陥った。娘のアンバーさんが生まれてからわずか6週間後のことだった。
彼の運転するピックアップトラックは、橋を滑り降りて川に突っ込み、25フィート近く急降下した後、乾いた川床で逆さまにひっくり返り手すりの柵に押しつぶされた。
彼は四肢麻痺のまま昏睡状態に。当時、医師は回復の見込みはないと考えていたそうだ。

しかし医学的な予想に反して、ウォリス氏はなんとその19年後(2003年)に奇跡的に目を覚ました。目覚めると彼は、

「ママ」「ペプシ」「ミルク」 

という言葉を発した。

彼の家族(両親や弟、妻、娘)は何年もの間、隔週の週末に昏睡状態の彼を家に連れて帰ったそうだ。医師はこの刺激が彼の目覚めに貢献したと語っている。

この件は複数のメディアで報道され彼は「19年間眠った男」として有名になり、いくつかのフィクションや映画の題材ともなった。

脳の不思議な力

ウォリスの家族達は19年間の昏睡の間も目覚めてからも、献身的にウォリスの世話をしたそうである。
その後、数年かけてウォリスは完全に話す能力を取り戻し、四肢は動かないものの体の特定の部分を動かすことさえ出来るようになっていった。

ニューヨーク市のワイルコーネル・メディカルセンターでは、彼の脳をスキャンしてその奇跡的な回復について調査した。
その結果、彼の脳は無傷のまま残ったニューロンを自発的に再接続し、損傷した領域を回避する新しい回路を形成したのではないか?という仮説が立てられた。

ウォリス氏は目覚めた後も、ユーモアのセンスを持ち、「からかい上手」であったそうだ。
弟が演奏する生演奏を聴くことや、いつでも何でも食べること、ペプシを飲むことが趣味だったと、死亡記事は伝えている

彼の奇跡の復活譚は、人間の脳の不思議な力と生命の素晴らしさを改めて教えてくれた。ご冥福をお祈りしたい。

参照元:NBC NewsYoutube

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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