17歳で肝臓癌と誤診された女性が長い苦闘の末、ボディービル競技で優勝を飾るまでの話。

カルチャー

17歳で肝臓ガンの診断を受けた後、15年間の苦しみ

ハンガリー出身のマルタ・ホルヴァートさんは17歳の時、医師から肝臓ガンとの診断を受けた。そこから15年間もの長い期間、死の恐怖におびえ、うつ病や摂食障害などに悩まされたという。

しかし、なんとそれは誤診だったということが32歳の時に判明。

現在、彼女はウェイトリフティングとボディビルに情熱を傾け、2018年にはボディビルの大会で優勝し名を馳せるまでになった。

下の写真は、健康的な肉体美でコンクールに優勝し、栄冠を手にしたマルタさんである。

17歳の時、マルタさんは親に連れられて一日がかりの精密検査を受けた。彼女の出身地であるハンガリーでは「マネージャー・スクリーニング」と呼ばれ、血液検査から超音波検査まで、あらゆる種類の検査が行われる。

その結果、なんと彼女は”肝臓がん”の可能性を示唆された。

彼女と彼女の親は、セカンドオピニオンを求めて別の医者に検査結果を持っていった。
その医師は、大きな血管腫か良性の肝臓腫瘍だと言い、血管が破裂する恐れがあるので、重いものを持ったり、倒れたりしないようにと警告してくれた。医師が提案した唯一の治療法は肝移植だった。

まれに起こる致命的な合併症に備え、彼女は携帯電話で両親へのお別れのメールを作成したそうだ。

誤診に悩まされる日々

そこから15年もの間、彼女の苦しみが始まった。
彼女は肝臓ガンの恐怖やそれに対する精神的な葛藤の結果 うつ病、摂食障害、逆流性食道炎などストレス性の症状が出てきてしまったそうである。

22歳のある日、血液検査で肝炎のような数値が出たため、専門医から肝生検を勧められた。
彼女は飲んでいる薬に副作用がないか調べたところ、ある薬に肝炎のような血液検査の結果が出る可能性があることが明記されていました。

その時、彼女は診断に疑問を感じ、今まで飲んでいた薬をすべて捨ててしまう。摂食障害とストレスの結果、体重は激減していたという。

32歳のとき、ついに彼女の人生を変える医師との出会いがあった。
その医師は彼女のぶ厚いカルテを仔細にチェックした後、

もし本当にあなたが肝臓がんなら、今ここでこうして私と話していると思いますか?

と言った。

同位体造影検査を受けた後、この医師は彼女の肝臓にある斑点が色素斑のようなものであることを確認した。この症状は深刻な問題ではなかったのである。

誤診から解放され、ボディビルと出会う

彼女は自分が健康である、という事を当初なかなか信じられなかったという。しかし、激減した体重を取り戻すべく、220ポンド(約100kg)のスクワットリフトをすることを最初の目標にしたそうだ。

その目標を達成した直後、彼女はボディビルに目覚めた。

33歳の誕生日に最初の大会に出場し、さらにその3年後、ラスベガスで開催された2018年のナチュラルオリンピアの予選を通過、エンジェル部門で優勝を飾った。
同大会で優勝したハンガリー人とは初めて、という快挙だった。

現在、彼女は栄養学のコーチをしており、ボディービル大会の審査員を務め、他の人がコンテストに向けて準備するのを手伝っている。

誤診によって何年もの身体活動を奪われましたが、新たに見つけた情熱で競技に参加できることに感謝しています。

と彼女は語っている。

人間万事塞翁が馬、というが彼女の語る闘病生活と誤診からの解放はまさにそれを体現している。
誤診による体重減がなければ、ボディビルに出会う事もなかったに違いない。
幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかは誰にも分からないものだ。

彼女の現在の姿は、過去の苦しい経験を見事に昇華しきった充実感で一杯のように見える。
長い闘いを制したその精神力に乾杯である。・・それと、”良い医者に巡り会うことが出来た”という幸運にも。

参照元:INSIDER

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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