帝王切開の傷痕を見せる水着モデル
いち早く多様性に目を向けた米スポーツ月刊誌『スポーツ・イラストレイテッド』は、それまでの概念を覆すようなプラスサイズモデルやトランスジェンダーモデルを表紙に起用し、世間の注目を集めてきた。
そんななか、今月表紙モデルとなって登場したのはケリー・ヒューズさん(42)だが、彼女もまた多様性という意味で大きな話題をよんでいる。
こちらの写真をご覧いただくとその理由がおわかりいただけるだろう。
そう、彼女は同誌の58年という歴史のなかで初めての帝王切開の傷痕の残るモデルなのである。ビキニのボトムスを下げてその傷跡を誇らしげに見せているヒューズさんだが、なんとも幸せそうな笑みを浮かべているのが印象的だ。
帝王切開の傷痕を誇りに思いたい
2018年に妊娠したヒューズさんは、分娩の痛みや不安を軽減するための呼吸法などを練習し出産準備をしていたという。出産後に早期に現場に復帰するつもりだったというが、子宮口が7センチ以上開かなかったために赤ちゃんの安全のために急遽帝王切開をすることとなった。様々な出産方法を想定していたヒューズさんだが、帝王切開という選択肢は考えておらずショックを受けたそうだ。
退院した翌日、ヒューズさんは耐え難いほどの痛みを嘔吐を訴えた。病院へ行くと子宮口の体液が原因で感染したことがわかり、帝王切開でできた傷痕を再び開く手術を余儀なくされたという。生まれたばかりの息子と離れなければならなかったこと、また次の出産が難しくなる可能性を医師から告げられたこと、辛い経験だったが今を健康で生きたいという思いで前向きになれた。
8日後に無事退院したヒューズさんにとって出産は命がけだったものの、自身の健康に、そして目の前にいる息子の健康に感謝したという。
そんなヒューズさんにとって転機が訪れたのは2019年のことだ。業界がプラスサイズモデルを起用し一風変わった風が吹き始めたのだ。そして、今回の帝王切開モデルとしての依頼を快諾したという。帝王切開でできた傷痕は勲章であり誇らしいと、傷痕で悩んでいる母親たちにも伝えたかったのだろう。
疾病管理予防センターによると、アメリカでは毎年110万人以上の女性が帝王切開で出産しており、帝王切開はアメリカの出生のほぼ3分の1を占めている。帝王切開の傷痕を見せることに抵抗がある人は多いかもしれないが、ヒューズさんの起用でまた新たな多様性が浸透していくことを期待したい。
参照元:News.com.au、Instagram