タイのバンコク。
大都市の汚れた用水路に、ぽっかりと顔だけ出して浮いている老人の姿が。その姿はまるで遺体のようだ。
水路べりにはすでに十数人の見物人が集まっている。と、その中から老人を助けるために汚れた用水路に飛び込みゴミをかき分けかき分けして、老人に近寄る勇気ある若者が。
・・しかし、その老人は死体ではなく、ただ川に入って”瞑想している人”であった。
この後、現場へ駆け付けた救助隊員の一人は、
もう死んでいるかと思った。誰もが叫んでいたが、老人は動かなかった
と地元記者に語ったそうだ。
勇気ある若者が彼を水から引き上げようとしたとき、老人は突然しゃべった。”瞑想していただけだ”と
救助隊はこの老人を水路から助け出した後、救急車で病院へ運び、健康診断をしてもらった。
見たところかなり汚染された用水路のようだが、全身いたって健康であることがわかったそうだ。別に酔っ払っていたわけでもなく、ただ単に川に入り純粋に瞑想をしていただけ、というのが結論のようだ。
タイは国民の95%が敬虔な仏教徒の”微笑みの国”。出家、喜捨、瞑想という仏教的行為が身近に存在している国だ。以前、edamame.でご紹介した【筋骨隆々】ムエタイ最強王者が出家!の記事などもその一例かもしれない。
地元紙の報道の様子もいたって冷静、この瞑想老人を責める論調は見当たらない。
病院からは”もっと良い場所で瞑想するように”と勧められて終わりだったそうだ。
・・助けに入ったこの若者、骨折り損のくたびれ儲けもいいところであった。しかしその勇気は素晴らしかった、と称えてあげたい。