新型コロナの影響でここ数年は大規模なイベントは自粛傾向にあったが、先月14日、カナダ・オンタリオ州ハミルトンでは盛大にハロウィンパレードが開催された。
ハロウィンといえば通常は10月31日が本番であり、今回のイベントは1ヶ月ほど早い開催となったわけだが、それにはある理由があったのである。
余命わずかの男児のため地域住民が立ち上がる
この地域に住むアレックス君(5)は、今から4年ほど前に脳腫瘍と診断された。幼い体で必死に闘病してきたにもかかわらず、先月、アレックス君の父ニックさんと母キラさんは、医師からアレックス君の癌はすでに末期で有効な治療法はないと告げられたという。
そして、アレックス君の余命は数週間だと宣告されたのだ。
そんななか、先月11日夜に友人であるアンダーソンさんが一家を訪れていた。そして、家族との会話のなかでアレックス君がハロウィンのモンスターがみたいということ、本来ならナイアガラの滝にあるお化け屋敷に行きたかったが医師の判断で叶わなかったことを知ったという。
アンダーソンさんは翌月曜日にFacebookで一連の経緯を説明し、アレックス君のために一足早いハロウィンパレードを開催するのに協力してほしいと地域住民に向けて投稿すると予想をはるかに上回る反応があったのだ。
投稿から48時間以内には当日道路を通行止めにすることが可能となり、警察や消防署、ボランティアによるフェイスペインティング、ポップコーンや綿菓子の出店、そしてハロウィンの装飾を施したスポーツカー12台など多方面からの協力を得て当日を迎えることができたのである。
優しい世界に救われたアレックス君一家
こちらが先月14日に開催されたハロウィンパレードの様子である。
とても数日で準備したとは思えない仕上がりで、地域住民らも皆全力で楽しんでいる。アレックス君も念願のモンスターを見たり着ぐるみとハグしたりと、最高のハロウィンとなったことだろう。
パレードに参加した住民の1人クラークさんは「私は3年前に5歳の娘を癌で亡くしました。今回のイベントは当時娘が受けた地域のサポートを思い出させてくれました」と話しており、皆さまざまな思いでこのパレードに参加したに違いない。
「たくさん泣いてたくさん笑いました、こんな地域は他にはないでしょう」「ハミルトンに住んでいることを誇りにおもいます」そう話す地域住民らの優しさに、アレックス君と家族はどんなにかあたたかい気持ちにさせられたことだろうか。こんな光景がもっと世界中の至るところで見られることを切に願うとともに、昨今日本では希薄となった地域とのつながりの大切さを、改めて感じた話題であった。