オーガズム後症候群に悩む男性
射精後にインフルエンザのような症状を引き起こす「オーガズム後症候群(Post-Orgasmic Illness Syndrome =POIS)」という病気を聞いたことがあるだろうか。
自慰行為やパートナーとの行為によりオーガズムに達した後に、発熱、咳、くしゃみなどの症状に加え、筋力や集中力、記憶力の低下、さらには発話障害などが一気に押し寄せ、とてつもなく辛い状況におかれるという。
このたび、医学雑誌『Urology Case Reports』で報告された症例によると、27歳の匿名男性もこのオーガズム後症候群に苦しみ、長い間ガールフレンドと親密な関係を持つことを避けてきたそうだ。
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— Spooky (@OddityCentral) October 17, 2022
生きているなかで最も不幸な男性とまで呼ばれたこの男性だが、今回医師チームが抗ヒスタミン薬でこの症状を改善することに成功したというのである。
抗ヒスタミン薬で症状が改善か
実は、これまでにも60ほどの深刻な症例が挙げられていたそうだが、非常に稀で珍しい病気のために誤診されることも少なくなくなかったようだ。
オークランド大学ウィリアム・ボーモント医科大学のアンドリュー・シャンホルツァー博士は、オーガズム後症候群の正確な原因はいまなお不明であるが、睾丸への感染または損傷により微量の精子が血流に漏出し、免疫反応が引き起こされた後に始まると考えられていると説明している。セルトリ細胞と呼ばれる特別な細胞が精子を育てて取り囲み、精子を免疫細胞から隔離しているものの、セルトリ細胞が損傷を受けると精子は初めて免疫系にさらされ、免疫系はウイルスや外来細菌のように精子を攻撃するのだという。
冒頭の27歳の男性は18歳頃からオーガズム後症候群の症状があらわれ、泌尿器科医から感染症の専門家まで様々な医師に診察してもらったものの、原因を突き止められず症状を改善することはできなかった。今回報告されたように抗ヒスタミン薬で症状の改善が可能になるのならば、同様の悩みを抱えている人たちにも希望を与えることになるだろう。