ホホジロザメを料理して食べた中国のフードブロガーに12万5千元(約240万円)の罰金刑

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ホホジロザメを食べて罰金刑

中国の人気フードブロガーが国家2級重点保護動物である“ホホジロザメ”を調理して食べるところを撮影し、12万5千元(約240万円)近い罰金を課された。

四川省北東部に位置する南充市の当局は1月28日、フードブロガーとして人気だった堤子(Tizi)さんに『野生動物を違法に購入し食べた』として12万5000元(1万8522ドル)の罰金を科した、と発表した。

この件は、昨年7月に堤子さんが約6フィート(約182cm)のホホジロザメを調理して食べる映像を中国版TikTok「抖音(Douyin)」に投稿したことから明るみに出た。その動画には、堤子さんがホホジロザメの肉の塊を引きちぎり、サメの頭部をブイヤベースのように鍋で調理する様子が映し出されている。

この映像は中国国内で話題になった。というのも、ホホジロザメは国際自然保護連合(IUCN)レッドリストの危急種に指定されていて、中国では保護種となっている。このサメを食べることは、特定の野生動物の商業取引を禁止する中国の野生動物保護法に違反することになる。

当時、アメリカのCBS Newsが報じたところによると、彼女は地元の店でサメを買ったと主張していたという。しかし、実際にはアリババ傘下のショッピングサイト「淘宝網(タオバオ)」で7700元(約14万円)で購入されたものだった。報道によると、当局は彼女の食べ残したサメの料理をDNA鑑定までしてこの肉がホホジロザメのものであることを特定したという。

当局は前述の罰金を科すとともに、ホホジロザメを捕獲・提供した店舗の関係者2名を逮捕している。

フカヒレ料理は衰退の一途

中華料理の高級食材を代表するのがフカヒレ料理。今回の事件は、ホホジロザメだが、ジンベエザメ、ウバザメ、イタチザメ、ヨシキリザメなどのヒレが原料となることが多い。

有名で人気があるにもかかわらず、原料のサメの消費は中国では減少しているという。2014年の報告になるが、伝統的な宴会料理であるフカヒレの消費量は、中国国内において以前の80%以上も激減し、調査に回答した中国人の85%が過去10年間この珍味を口にしていないという。

中国政府は2013年に公式晩餐会からフカヒレを禁止し、この料理を取り締まる努力を続けているそうだ。

こういった取り組みは、中国に限ったことではなく昨年の夏、米国上院は”米国内でのフカヒレの売買を禁止する法案 “である「フカヒレ販売禁止法」を可決している。英国も2021年8月にフカヒレの輸出入を禁止する新しい法律を制定した。

また、一部の国のサメ漁ではヒレだけ切り取ってサメを生きたままで投棄、サメは泳げずに死に至るという行為が横行しているという。これは『シャークフィニング』と呼ばれ、生物保護の観点からこういったサメ漁は批判の的にされることが増えているようだ。

こういった状況でホオジロザメを丸ごと調理して食した堤子さんは、一体どういう考えだったのだろうか?

疑問は多いが、近年中国のインフルエンサーの間では、トラフィックを増やすために”奇妙なもの”を食べることが人気動画となっている。以前、当サイトedamame.でも、中国のインフルエンサーがスズメバチを食べる、という記事をご紹介している。こちらはアカウント停止措置をくらったようである。

“食への情熱”は、ほとんどの人間にとって好まく思えるもの。しかし、中国のこういった傾向は少々行き過ぎな面があるのではなかろうか。

世界に冠たる中華料理。サメやスズメバチではなくとも、美味しいものは沢山ある。法律と健康をよくよく考慮した上で、食への探求を続けて頂きたいものだ。

参照元:NewYork PostwikipediaYoutube

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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