アディダスが女性用水着の新シリーズを発表するも、モデルに男性を起用し物議

カルチャー

衣装を披露したモデルは男性かトランスジェンダーか

アディダス(Adidas AG、”adidas”)はヨーロッパでは最大のスポーツウェアメーカーであり、世界ではナイキに次ぐ第2位のドイツの多国籍企業である。

この世界的スポーツブランドが、このほど同社の英語圏向けサイトで女性用水着の新シリーズを発表したが、そこで男性と思われるモデルを起用したことで物議を醸している。

この女性向け水着シリーズは、同ブランドの「Pride 2023」コレクションの一部で、 ウェブサイトでは女性用セクションで販売されいる。しかし、この水着を披露しているモデルの胸元には毛が生えており、股間部分には膨らみが確認できる。このモデルが男性であるか、トランスジェンダーであるかは明記されていない。

この水着は南アフリカ出身のデザイナー、リッチ・ムニシ氏が制作したものだ。アディダスはこの水着を「自己表現、想像力、そして愛がひとつになるという揺るぎない信念の祭典」と評している。

しかし、この水着のモデル選びは万人受けするものではなかったようだ。

イギリス人のインフルエンサーで韓国や韓国文化をこよなく愛していることで知られるオリ・ロンドン氏は今月17日、「新しいアディダスのレディーススイムウェアシリーズのモデルは男性」というキャプションを付け、サイトのスクリーンショットをツイッターで公開した。

そして「覚醒していないブランドは一つも残っていないようだ」ともコメントしている。この投稿は500万人以上のツイッターユーザーに閲覧され話題を呼んだ。その多くの人がこのブランドの取り組みには否定的なようだ。残念なことに、#BoycottAdidas ハッシュタグが一時期トレンド入りし、多くの著名なアスリートもコメントを寄せた。

「女性の水着は股間の膨らみでアクセントをつけるものではない」

と米国の水泳選手から女性権利活動家に転身したライリー・ゲインズ氏はツイートしている。その他にも、

「なぜ企業が自主的にこんなことをするのか理解できない。せめてスーツは『ユニセックス』ですと言えばいいのに」「その女性らしい膨らみをチェックしてみてください」「どうして女性用の水着やブラジャーの宣伝に生物学的な男性モデルを使うのか。腹立たしい」「毛深い胸と股間の膨らみが水着の売り上げにどう貢献するというのか」

と言った批判的コメントが寄せられている。他にも、「アディダスとナイキは、競合他社が“ますます覚醒”した後、どちらが先に破産できるかを争っている」というジョークも多く書かれている。ちなみに先月、競合他社のナイキもトランス系ソーシャルメディアのスター、ディラン・マルバニーさんを広告に起用しブラやレギンスを身に着けて同社のアクティブウェアを宣伝、保守派の人々の顰蹙を買っている。

こういった取り組みは『多様性』をお題目に昨今ファッション業界などで広まっているようだ。ジェンダーの枠を超えた表現や異なるボディタイプやスタイルの人々へのアピールを意図しているもののようで、これにより消費者への多様性のメッセージを発信し、広告の効果や訴求力を高めることを狙っているものと思われる。しかし、新しい取り組みであるために、拒否反応を示される場合も多いようだ。

先のディラン・マルバニーさんを起用したアメリカの大手ビールメーカー「バドライト」は大規模な不買運動に直面し売り上げが急落しているという。

こうした世界的大企業がこのような取り組みにチャレンジすることは評価したいところだが、今回の取り組みは少々稚拙な面があるように思える。自然な表現として世に受け入れられるには、まだまだ試行錯誤や時の経過必要なようだ。

参照元:adidas、参照元:Dailymail

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ひろしげ

海外渡航経験はハワイ、イギリス、ニュージーランド。大陸に憧れと恐れを抱く典型的島国の人です。趣味は大仏巡り。牛久大仏を擁する茨城県が魅力度ランキング最下位というのは納得できない。

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