伸びた角が目に突き刺さった羊
6月29日、ニュージーランドにあるハントリー地方裁判所で農場主の男性が有罪判決を受けた。動物の身体的、健康的管理、そして行動におけるニーズを提供しなかったという罪状を認めたというが、一体何があったというのだろうか。
事の発端は2022年2月、地元住民から通報を受けた動物愛護団体(SPCA)がその農場を訪れたところ、農場経営の驚くべき実態が明らかとなった。左右の角が伸び、目に突き刺さった状態の雄の羊が飼育されていたのだ。
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'Horrific injury': Ram's horn grows through face, piercing eye after owner's negligence https://t.co/yq9xsjL3KL
— Newshub (@NewshubNZ) July 6, 2023
SPCAの検査官によると、この羊は方向感覚を失っているようにみえ、明らかな視覚障害があることに気付いたという。角が突き刺さった傷跡からは分泌物も流れ出ており、羊のまわりにはハエが群がっていたようだ。
その後、この劣悪な環境、そしてひどい痛みから解放するため、獣医師によって羊は安楽死させられた。
農場主には有罪判決が下る
SPCA暫定最高責任者のロビン・キドル氏は「この怪我は雄羊に計り知れない苦痛を与えたに違いありません。これは、伸びすぎた角による恐ろしい怪我で、数ヶ月とは言わないまでも、数週間でも早く改善されるべきでした。改善される代わりに、動物は放置され、痛みと苦痛に苦しむことになりました。」と語る。
農場主の男性の妻は、2021年末にこのことに気付いており、SPCAが来るその前の週に、安楽死と除角の費用について問い合わせるため獣医に連絡したと話しているが、地元にある2つの動物病院には問い合わせの記録はなかった。また、雄羊の角を切ったことがなかったため、襲われるのが怖くて近づかなかったとも話していたようだ。一方で農場主の男性は、角が伸びていることには気付かず羊は健康だと思っていたといい、意見には食い違いがあった。
今回、有罪判決を受けたことで、男性は畜産動物の所有資格を剥奪されるとともに、100時間の社会奉仕活動が言い渡された。合わせて、賠償金や起訴費用、法定費用の支払いも命じられたというが、こんな状態で長期間放置されていた雄羊の身体的、そして精神的苦痛ははかりしれず、想像を絶するものだったに違いない。