2016年、セルフィーで73人もの死亡例が報告
スマホの普及とともに今セルフィー(自撮り)をする人が急増している。なにも思い出作りにするわけではない。彼らの目的はSNSにあっと驚くようなセルフィーを投稿してみんなから「いいね!」をもらうことなのだ。
そして、より危険な場所で人には真似ができないような写真を撮影することが一種のステイタスとなりつつあるこのトレンドは、実は多くの死亡者を出してしまっているのである。
2016年1月から8月のたった8ヶ月の間にセルフィー撮影のために死亡した人がすでに73人に達しているという調査報告書が提出されている。2014年には15人、そして2015年には39人の死亡報告が発表されているが、その人数は年々増加傾向にあり2016年の死亡人数は過去には例をみないほど膨れ上がっているのである。
SNSで過熱する衝撃的なセルフィー撮影!
アメリカピッツバーグ州にあるカーネギーメロン大学でコンピューターサイエンスの博士号過程を学ぶインド人大学院生ヘンマンクはこの事態を深刻な問題だと受け取った。人から注目を浴びたいがために自らの命を犠牲にすることはあってはならないことだと彼は言う。
そして彼は大学のチームメンバーと共に命懸けのセルフィーに待ったをかけるアプリの開発に乗り出したのだ。
アプリ開発にあたって徹底的なリサーチやデータの分析をおこなった
ヘンマンクはセルフィー撮影時に死亡した127の事例をもとに、撮影当時の場所や状況などを分析した。場所の主な内訳はインドで76件、パキスタンで9件、アメリカで8件、そしてロシアで6件というものだった。
状況としては人が驚くような崖の先端での撮影や高いビルの屋上での撮影などとにかく高所での撮影時に落下して死亡したケースがほとんどであった。他にも水が関連したケースや、崖から海に飛び込むなど高所と水の両方が関連したケースなども分析した結果新たにわかった。
各国によって事故の状況が異なることも判明
ロシアやアメリカでのセルフィーでは武器が引き金となって死亡するケースも多いという。例えば銃を持ってポーズを決めているときに誤って引き金をひいてしまうもので事例としては少なくない。
最もセルフィー時の死亡率の高いインドでは線路上でポーズを決めているときに汽車にはねられてしまうというケースが頻繁に起こるのである。ムンバイでは警察官によって16箇所もの「セルフィー禁止」エリアが定められているという。
命よりも大事なセルフィーなんてない!
過去のデータをもとにセルフィー時に怪我をしたり死亡事故があった場所では警告が出るようなアプリにする予定です。我々人間が追加したデータだけでなく、ソーシャルメディアの視点から撮影された写真を分析できるアルゴリズムについても検討しています。
しかし、このアプリが警告することによって「ここはセルフィーに最適な危険ゾーンだ!」と勘違いをしてしまう人が出てきてしまうのではないかとヘンマンクは懸念している。
命よりも大事なセルフィーなどないということを一人ひとりが認識することが当たり前の世の中になるのにはまだ時間がかかりそうだ。