耳の上にこんな穴がある人いませんか?
”今ここに100人いたら、そのうち1人は耳の上にこんな穴があいている”
イギリスでこんな統計が出た。確率にすると全体の1%という極めて低い数字ではあるものの、全世界でみるとその確率は上がり、ある国では10人に1人の割合でこのような耳を持って生まれるというデータもある。
この、生まれつき耳にあいている小さな穴は「先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)」と呼ばれる。
国によっては言い伝えも存在し、エチオピアでは国の神話に基づいて「耳瘻孔の持ち主は莫大な富を築き上げることができる」とも言われている。
耳瘻孔は妊娠期の名残でできる!臭いには要注意!
では、一体なぜこのような穴ができるのだろうか。それは妊娠期までさかのぼる。
母胎内で胎児の耳が形成される際に、本来なら成長するにつれて消える管上の穴がそのまま残ってしまうことがある。それが生まれつきできた瘻孔(ろうこう)とよばれる小さな穴だ。親としては耳に穴のあいた赤ちゃんをみて心配せずにいられないが、気になる症状がなければ特に治療を要するものではないといわれている。
指で穴を挟んでみると、右の写真のように時々チーズのような分泌物が出てくるが、それくらいであれば何も問題ないので安心してほしい。汗やあかなどの分泌物にすぎないが、臭いはかなり強烈なので覚悟しておこう。
油断禁物!症状によっては手術を必要とすることも!
しかし、症状によっては手術を必要とすることもある。
穴の奥には病原性の弱い細菌が隠れているため、体調不良で抵抗力が弱った時などに膿が溜まって大きく腫れてしまうことがある。細菌感染してしまうと穴が小さいために膿の排出が難しく、そのまま膿が管内に溜まってしまうのである。
そうなると、まずは炎症を防ぐために抗生物質での投薬治療をおこなうが、効果がない場合は、局所麻酔のうえ切開手術をして膿を出すこととなる。
感染を防ぐために約2週間洗浄して一旦治療は終わるが、それでも炎症を繰り返す場合は、瘻孔を袋ごと摘出する手術がおこなわれるのだ。
日本人にも多い先天性耳瘻孔!正しい知識を身につけよう!
※画像はイメージです
日本で生まれる赤ちゃん100人のうち2人~5人にこの症状がみられるという。実際、筆者も耳の上に穴のあいた子供を何人も知っている。遺伝的な要因もあり、両親どちらかが先天性耳瘻孔であれば子供にもそれが遺伝して発症するケースが多いようだ。
小さなものとはいえ、他人と異なる容姿を心配してしまいがちだが、耳瘻孔は決して珍しいものではなく、多くの人が生まれもった症状だということを知っておいてほしい。多くの場合、経過観察で大丈夫だが、腫れや痛みを伴う場合には医師の診察を受け、治療をする必要があることも頭の片隅においておこう。
参照元:UK Newsy
撮影者:edamame編集部