ロシア発、自殺ゲーム「青い鯨」がいよいよ中国に上陸。
#синийкит #разбудименяв420 #тихийдом #хочувигру #явигре #f57 #f58 #50днейдомоего pic.twitter.com/JrsN2ODSp3
— Сельджан Магеррамова (@_selcan1771_) 2017年3月21日
2015年、ロシアを発端に始まった自殺ゲーム「青い鯨」。
この名前は、鯨が自ら陸に乗り上げ自殺する習性をもつ事に因んでつけられた。
このゲームは自殺願望がある未成年を引き込み、「決められたルールに従えば異世界に行って救われる」という刷り込みを行う。現実へ不満が強く、特別な存在への憧れが強いティーンエイジャーの心をついている。
ロシアでは2016年4月までに130人以上の自殺者を出しており、自殺ほう助の厳罰化や、犯行グループの摘発など対策に乗り出している。
発端となったのは、ロシアのSNSであるVK.comのコミュニティの一つだ。独自の死生観を発信しており、自殺した少女の写真をシンボル化したり、音楽や映像を使用して若者たちを死へいざなっていた。
その後、創始者の逮捕によって一時的に鎮静化するも、現在ではルールだけが独り歩きしてアプリ、チャットグループ、SNSのハッシュタグとして存在し続け自殺者を増加させているという状況だ。
そしていよいよ、その魔の手は中国に迫っている。
5月11日、中国の新聞社「中新社」が、チャットアプリ「QQ」内の自殺ゲームグループ12個を摘発したと報じたのだ。
ついに東アジアにも進出してきた青い鯨の波。もし日本に上陸すれば、秘匿性の高い日本のSNS文化では拡散を止められないだろう。
それでは、さらに詳しく青い鯨について見ていこう。
青い鯨のルール
このゲームはまず、自殺願望を持っている未成年が中心に集められる。「お前は太っている」「醜い」「負け犬」といった言葉でこの世界に居場所がない事を信じ込ませる。
こうして自己肯定力のない少年少女の死にたいという気持ちを煽り、追いつめたのち、「特別な手段で死ねば、別の世界で救われる」という事を伝えるのだ。
死後の世界の美しさや、先に逝ってしまった少女への称賛で死の美化を行う。霊的な魅力を感じさせる部分は、ある種の宗教のようなものである。
ルールはグループによってまちまちだが、現在拡散されているルールは以下のとおりである。
Challengenya bermacam2, yang ujung2nya adalah harus bunuh diri. List dari task challengenya bisa dibaca disini. #BlueWhaleChallenge pic.twitter.com/eGD0IQdcT2
— Christian Sugiono (@csugiono) 2017年5月1日
1日目、手に「f57」と刻み、写真を撮って管理人に送る。
2日目、朝4時20分に起き、サイケデリックなホラー映像を見る。
3日目、3回リストカットをし、写真を撮って管理人に送る。
(中略)
10日目、屋根に上る。(なるべく高いところ)
11日目、手にクジラを刻む。写真を撮って管理人に送る。
(中略)
26日目、管理人が死ぬ日を言うので、それを受け入れる。
27日目、朝4時20分に起き、線路へ向かう。(見つけたどの線路でもいい。)
28日目、一日中誰とも話さない。
29日目、「自分はクジラ」だと誓う。
30~49日目、毎日朝4時20分に起き、ホラー映像を見て、彼ら(管理人)が送った音楽を聴く。そして一日一回体を切る。「クジラ」と話す。
50日目、高いところから飛び降り、命を捧げる。
このパターンでは飛び降り自殺をすすめているが、線路に寝そべって斬首する形をとっているものもある。
このように、まじないのような行動をさせることで、プレイヤーは霊的な世界へより没頭するようになる。神のような視点を持った管理人が精神的に追い詰めた上、死までの経過を監視していると思い込ませる算段だ。
ツイッターでは、「F57」「F58」のハッシュタグで実行されている。
Day 11 #bluewhale #bluewhalechallenge #wakemeupat420 #imready #f57 #f58 pic.twitter.com/UawxUWk50e
— Kawaii Dessi (@Kawaii_Dessi) 2017年5月6日
実行している少女たちのリプライには、ゲームをやめるように訴えるコメントが見られる。
犯人の意図
この事件で逮捕された、フィリップ・ブデイキン被告は、このゲームをはじめた理由についてこのように述べている。
「世の中には人間と生物としてのゴミがいる。社会のどんな恩恵を受けられず、害悪としかなり得ないやつらだ。
俺はそういうやつらを社会から排除したまでだ。5年もの間このアイデアを構想していた。
こういうゴミどもと一般人は区別する必要がある。」
ブデイキンはかなりの危険思想の持ち主であり、亡くなった少年少女への同情は一切持ち合わせていない。
英新聞社・dailymailの記事によると、彼は巧みな話術の持ち主で、少女に甘い言葉をかけ恋に落ちるように仕向けていたという。逮捕後にも大量のラブレターが届いていたのだとか。
優しさや温もりとかけ離れた孤独な少女たちを誘惑するのは、彼にとってとても簡単なことだったのだ。
記事の公開にあたって
«Синий кит» – смертельно опасная детская игра#тихийдом #разбудименяв420 #f57 #f58.
⏬Подробности:⏬https://t.co/ZiJc4j53Pi pic.twitter.com/IwZCnOoKnO— Uralstudent (@uralstudent) 2017年2月24日
私(手羽先)がここまで詳しく書いた理由はただ一つ、この危険なゲームが日本人を惹きつける内容だと思えたからだ。
日本では過労が原因による自殺が注目されており、そのうち44%が20~30代の若者である。
海外では孤独や閉塞感は思春期に味わうものだったが、日本では成人しても孤独感に苛まれている人は多いとされている。
現代の若い社会人のほとんどは、誰も頼ることができず、上の層からは「役立たず。情けない。」「辞めて他に行っても絶対にうまくいかない」と道を絶たれ、限界まで使い倒される日々を送っている。
孤独な状況と、逆らえない人間からの追いつめる言葉、心の余裕をなくす命令。・・・この構造が青い鯨の心理操作と似ていると感じたのは、筆者だけではないだろう。
更に青い鯨では「死ねば異世界で幸せになれる」と付け加えており、退路がなくなった社会人にとって、どれほど甘美な言葉かわかるだろうか。
青い鯨が日本に上陸しないことを願うばかりだ。