宗教上の理由でザルをかぶっても免許証OK!?彼らが信仰するスパゲッティモンスター教ってなんだ!
免許証の写真というのは独特の雰囲気を醸し出している。背景は真っ青で、ライティングも普通の写真とは全然違うし、犯罪者みたいな写真になるし・・・・・。
満面の笑みの写真を持ち込むと、免許センターの人に「普通の顔の写真はないんですか?」と言われるほど、免許証の写真というのはルールが厳しい。
ご多分に漏れず、アメリカでも免許証を取るときには厳しい審査が入る。帽子はとり、顔は正面で、濃いメイクやカラーコンタクトは無しで・・・といったルールは日本と同じだ。
だが、この謎のアニキの写真は審査に通ったのである。
この男性の名前は、ショーン・コルベットさん。このたび、宗教上の理由でパスタの湯切ザルを頭にかぶっている写真が許可されたのだ。
彼が住むアリゾナ州は特別に審査がゆるいというわけではない。他の州でも同じ基準で審査されているので、どの州で申請しても通る可能性がある。
彼はこの宗教に入信して3年目らしい。このニュースが掲載されていた地方紙には、「すべての人の自由が認められるように戦いました」とのコメントが記されている。
ちなみに、2015年にもマサチューセッツ州の信者の女性が湯切ざるを許可されているので、今回で史上2人目ということになる。宗教の自由のため、行政と戦って勝ち得た結果と言えるだろう。
ここまで読んでくれた読者たちは、「ていうか、湯切ザルかぶる宗教ってどんなカルトなんだよ!」と言いたいところだろう。彼らの信仰する宗教について詳しくみていこう。
「空飛ぶスパゲッティモンスター教」って何ぞや
▲空飛ぶスパゲッティモンスター教のシンボルマーク。かわいい。
コルベットさんが入信しているのは、「空飛ぶスパゲッティモンスター教」というパロディ宗教である。以下は、日本支部の公式略称であるスパモン教と呼ばせて頂こう。
この宗教の出現を説明するには、1990年代に発表されたインテリジェントデザイン説という理論の解説は欠かせない。
インテリジェントデザイン説(通称ID説)とは、「この世界とすべての生物は、意図、意志、目的を持って大いなる知性(=神)が緻密に計算し創造したものだ!」という科学と創造論の融合といえる理論である。
(人間は神が作った!という創造論とは別箇に、ダーウィンが提唱した「進化論」があることは知っている人も多いだろう。人間はサルから進化したというものだ。)
これが問題視されるようになったのは、カンザス州の教育委員会が「学校でも進化論・創造論と同時にID説という理論もあるんだ!ということを教えましょう」となったからだ。
一部ではトンデモ理論だと批判されており、それを学校で教えるなんて反対だ!という派閥が多くなった。
「インテリジェントデザイン説を学校で教えるなら、スパゲッティモンスターが世界を作ったということも教えるべきだ!」というのが、スパモン教の主張である。完全なる皮肉だ。
2016年にはオランダで正式な宗教団体として認められているが、「神のまがい物を作るとは何事だ!」と怒られたこともあるらしい。
その後、カンザス州教育委員会からはインテリジェントデザイン説を支持する委員はいなくなり、学校教育に導入されることはなくなったが、スパモン教は宗教として生き続けているのである。
あなたも入信できる!スパモン教の教義
スパモン教の教義は、具体的には以下の通りだ。いくつか抜粋するが、あくまでもパロディ宗教なので真に受けないでほしい。
・宇宙は空飛ぶスパゲッティ・モンスターによって創造された。これは空飛ぶスパゲッティ・モンスターが大酒を飲んだ後の事であった。
・古代の人の身長が低いのはスパゲッティ・モンスターの触手によって頭を押さえられていたからであり、現代人の背が高いのは人口増加によりスパゲッティ・モンスターの触手の数が足りなくなったからである。
・宗教上の祭日は毎週金曜日である。(花金)
・天国にはストリッパー工場とビール火山が約束されている。また、女性やゲイの信者のための男性ストリッパーも存在している。地獄はビールの気が抜けていてストリッパーが性病持ちであるという事以外天国と同じである。
・教祖や教団にお布施をする代わりに、そのお金は「貧困をなくす」、「病気を治す」、「平和に生きて、燃えるように愛して、電話の通話料を下げる」のに使う。
・祈るとき、「アーメン」の代わりに「ラーメン」と言う。
このような厳しい(?)戒律をクリアすることで、死後には天国に行くことができるという。
セクシーなストリッパーを見ながらビールをがぶがぶ飲めるだなんて最高ではないだろうか。お酒が弱い人にも、キンキンに冷えた三ツ矢サイダーなどの無料ドリンクバーもあるようなのでご安心を。
遠回しに、お金を稼いだら自分に使おうねという当たり前なことが書かれている。普通に稼いで生きてるだけでオッケーらしい。
このように、ラフでフリーダムな雰囲気から、あっという間にインターネットで有名になっていったという。現在では世界各国に支部を置き、着々と入信者を増やしているという。
ちなみに会員特別カードつきなら4000円、カードなしだと2500円で入信できる。
宗教の本質ってなんだよ・・・
我々日本人の間では、宗教に対する感覚というのは諸外国とは大きく異なるだろう。
西欧諸国ではキリスト教とイスラム教が対立を強め、戦争やテロといった軋轢を生んでいる。昔に遡れば、オウム真理教といったカルト宗教の事件もあったことで、警戒する人もいるだろうと思う。
宗教がらみでは難しい国際情勢ではあるが、こういったおもしろ宗教の自由を認めることは、人々の寛容さにつながるだろうと私は思う。これが、一番上に書いたコルベットさんのコメントが示していたものなのだ。
すべての人の自由と幸福を祈念して、ラーメン!(※アーメンの代わり)
参照元:Wikipedia、Pinterest、スパモンJPN(空飛ぶスパゲッティモンスター教日本支部)
許諾元:Sean Corbett