人体が腐敗する過程を観察する法医学研究所「死体農場」
火葬が一般的な日本人にとっては、人間が死後放置されるとどうなるか想像しがたい。医学の世界でもまた、亡くなってから土に還るまでの過程は未だ知り尽くされていない。
そんな中、「死体を放置したらどうなるか」を研究する機関が発見され、ツイッターでひそかな話題になっている。
この記事、シカうんぬんよりも、人体が腐敗する過程を研究する「死体農場」という施設があることの方が興味深かった。「どんな動物が死体に群がってくるのか」も研究対象になるらしく、ここで判明したことが死亡事件や犯罪の解決につながるんだとか…https://t.co/9ePbAl1AZO
— ぬまがさ (@numagasa) 2017年6月27日
死体農場。人体が腐敗する過程を研究する・・・と、上のユーザーは説明しているが、字面だけだとどこか不穏な空気が漂っている。
そこでは一体どのように死を研究しているというのだろうか。より具体的に研究の現場をクローズアップしてみよう。
「死体農場」での研究
▲テキサス大学サンマルコス校の死体農場
「死体農場」は、英語では「ボディ・ファーム」と呼ばれる、法医人類学研究を目的として建てられた研究機関だ。
上のグーグルマップに表示している死体農場では、10万平米の土地に70体の死体が地面に置かれている。
研究する主な意義は、人間の死体の分解プロセスを観察し、死体発見時の日時や状況などを明らかにするためのデータ収集だ。
ゴミ袋に詰め込まれる、カーペットで巻く、浅い穴に埋める、池に放り込むなど、様々なケースをシュミレーションして実験しているという。
実験に使用されるすべての死体は病院や葬儀場からドナー提供されており、男女問わず年齢も乳幼児から老人まで幅広い。
実験が終わると、特殊な洗剤とともに火にかけ、歯ブラシで一つ一つ骨を丁寧に洗浄される。漂白された後箱に詰められると、遺族のもとに帰るか、展示物として納められるとのことだ。
死体農場が作られる前はブタの死骸で疑似的な腐敗観察をしていたというが、本物の人間の腐敗経過をみることで、より正確な研究結果がつかめるようになったという。
▲写真はイメージです
例えば、ハゲタカが目玉を食べるだけでも死亡推定時刻が大きく狂うと言われており、死体の腐敗の世界は未だ謎の多い世界である。
こうして手にいれたデータは、FBI(米連邦捜査局)や警察の鑑識とも共有しており、逮捕の裏付けとして使用される。警察犬やレスキュー犬の訓練にも役立っているともいい、公的機関とも強いパイプを持っている。
医学や犯罪のみならず、人命救助の分野でも大きな功績を残している死体農場だが、世界中ではアメリカにしか無いといわれている。
他の国でも死体農場を設置しようという動きがあるが、法整備など様々な問題がたちはだかり、設立が難しい状況にあるという。世界中の法医学関係者から羨望の眼でむけられている。
実際の実験現場の様子は見たい人は、検索してみて欲しい。なお、腐敗している死体が出てくるものもあるので、間違いなく閲覧注意だ。
様々な形で人は殺される
▲写真はイメージです
なかなか衝撃的な内容ではあったが、死体農場を設立したことで凶悪犯罪の解決へ大きく貢献していることは確固たる事実だ。
こうして手に入れたデータは、野山で発見された死体の司法解剖で、いつ、どのように亡くなったかや、どんな犯人に殺されたかを解き明かすカギとなるのだ。
一方で、殺人犯は裁かれるのを恐れ、あらゆる手を使って死体を隠そうとする。そして様々な殺され方をした死体が出て来て、真実の追及はより困難になる。
法医学は遠からず犯罪との戦いであると強く感じさせる。
参照元:Twitter