米研究により判明!あくびとサイコパスの関連
「サイコパス」と呼ばれる人々のことをご存知だろうか。
一般的に、サイコパスと聞くと「猟奇殺人犯」などをイメージする人が多いようだが、実はすべてがそういうわけでもない。犯罪心理学者のロバート・D・ヘアは、サイコパスを次の通りに定義している。
・良心が異常に欠如している
・他者に冷淡で共感しない
・慢性的に平然と嘘をつく
・行動に対する責任が全く取れない
・罪悪感が皆無
・自尊心が過大で自己中心的
・口が達者で表面は魅力的※Wikipedia参照
上記に加えて、幼少期からの素行問題などの「反社会性」があればサイコパスの可能性がある、とされているようだ。
そんなサイコパスと、我々が日常的にしている「あくび」との意外な関係性がアメリカの研究によって明らかになった。
※画像はイメージです。
それは、「サイコパス傾向にある人は、他人のしたあくびに釣られにくい」というものである。
ベイラー大学の行動科学者、ブライアン・ランドルさんは、その理由について「そういった人間は共感する力が弱いためである」と説明している。
また、「あくびの伝染は非常に原始的なコミュニケーションの方法であり、他の哺乳類動物などにも見られるものである」とも付け加えている。
ほえ~・・・よく「あくびはうつる」なんて言うけど、実は本能レベルのコミュニケーション的な意味合いがあったのか・・・!まずその前提自体がびっくりである。
実際にはサイコパスの診断はもっと複雑なものであるため、あくびに釣られるかどうかだけでは判断することはできないが、それでも実験の結果は「サイコパス特性が高い人ほどあくびに釣られにくい」ということを示している。
では、行われた実験はどのようなものだったのか?
めっちゃ気になるので、実験内容についてもう少し詳しく調べてみた。
実験の内容について
ランドルさんの研究チームは、135人の大学生を集めて、標準的なサイコパス特性テストを受けさせた。テストは残虐性、利己主義性、衝動性、攻撃性、共感性などを評価するものであった。
平均的な学生はサイコパス特性の50%前後に落ち着いたが、中には極端に数値が低くなる者や、スコアが90%以上になる学生もいた。サイコパス特性が高い者は他人との関わりが苦手かもしれないが、必ずしも悪意があるというわけではないという。
あくまで「傾向がある」というだけで、「スコアが高かった」=「サイコパスである」というわけではないのだ!ここ注意!
研究チームは次に、学生たちにノイズキャンセリングのヘッドフォンを装着させ、コンピュータに映った「あくびをしている顔」、「笑顔」、「真顔」の映像を10秒間見てもらった。その際、研究チームが学生の反応を確かめることができるよう、目尻、額、まぶたの下、指に電極を装着させた。
その結果、サイコパス特性のスコアが低かった学生は、スコアが高い学生に比べて、2倍近くあくびをしていた。しかし、「スコアが低くてもまったくあくびをしなかった者もいたため、さらに多くの人数の研究が必要である」、とランドルさんは語っている。
なるほど・・・相手に「共感」を表現するツールとして「あくび」が使われていることが顕著にあらわれている実験である。
でも、そもそもじゃあ「あくび」ってなんなの?
ただの共感をあらわすコミュニケーションツールならもう「ウケる」「わかる~」でよくない??そういうことではないの??
まだまだ謎の多い「あくび」
ジョージア・グウィネット大学の心理学者スティーブン・プラテックさんは、
かつて、あくびは「血液の酸素不足によるもの」と考えられていたが、これは反証されている。現在の説では、あくびは「脳を冷却するメカニズム」である。そのため、あくびは「退屈のサイン」ではなく、むしろ「脳が活発に動いていること」を意味している。
と話している。
昔、授業中に思いっきりあくびをして先生にマジギレされた経験がある私だが、そのときに戻れるなら、先生にこう言いたい。
「退屈だからではない。今、脳が活性化しているのだ」、と。
またプラテックさんは、「先行研究によって、あくびに釣られるかどうかは共感性に関与していることが示されていたため、あくびの伝染がサイコパス特性と関連していることについては特に驚かなかった」という。
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今まで「あくび」と「サイコパス」の2つの言葉にはまったく関連性を見出せなかったが、今回の実験を知って、
「普段(おもに仕事中)何気なくしていたあくびに、そんな秘密があったなんて・・・!」と思わず衝撃を受けてしまった。
幸い、私は日頃から自発的(おもに仕事中)にあくびをバンバンしているし、誰かがあくびをしていてもソッコーでつられるので、サイコパス特性は低そうだ!ヨカッタ!
この記事を読んでくれたみなさんも、ぜひ一度、自分があくびをしていたときの周りの反応を思い返してみてほしい。
そこには、あなたに釣られてあくびをしている誰かがいただろうか?それとも・・・?