親がいない重病の子どもたちを引き取り、共に死を待つ一人の男性の話。

カルチャー

親がいない瀕死の子どもたちを引き取るムスリムの男性

edamame.では、これまでにも養子関係の記事を多数ご紹介している。たとえば、4人の女の子を養子にしたご家庭といったものなどなど。Adoption.lifeによると、アメリカには現在39万人もの孤児がおり、そういった子供たちを救おうとする動きが増えつつある。

しかし中には、重病を患っていたり、目や耳が不自由な子供たちも少なくはない。その理由の多くが、ドラッグ中毒の親から生まれたことや、難病を患ったがために医療費が払えず捨てられてしまったことによるものだ。

そしてそういった子どもたちの多くが、親と言う存在を得ることができずこの世を去ってしまう。だが彼らもまた、普通の子どもたちと変わらず、親の愛情を求めているのである。

そんな子どもたちに手を差し伸べる一人の男性が、カリフォルニア州ロサンゼルスに住んでいる。

彼の名前はモハメッド・バジーク。1978年にリビアから移住してきたムスリムの男性だ。

現在ロサンゼルスが管理している医療施設には、600人もの重度患者の児童がおり、そのうちの身寄りのない子供たちをバジークさんは家族として迎え、最後の瞬間まで愛情を注いでいる。孤児のために家の門戸を開けている他、子供たちの病気と死の扱い方を教えるコミュニティカレッジを開いているという。

「例え話せなくても、しっかりと目の前のものを見て、聞いている。彼らの魂は誰かの愛を求めている。だから彼らのために、大丈夫、ここにいるよ、と話してあげるのです」――地元メディアの取材に対し、バジークさんはこう話している。

では、なぜこれほどまでに彼は子どもたちに尽くすのだろうか。

亡くなった妻と、自身が感じた一人で死ぬことの恐怖

20年前、バジークさんはカリフォルニアの大学でダウンさんという女性と出会い、結婚。そのバジークさんの奥さんの実家は、一時的に子供を預かる孤児院だった。これに影響を受けたバジークさんは、奥さんと共に孤独な子供たちに一生を捧げることを決めたのだ。

しかし1991年、一人目の養子が亡くなった時、二人に強い衝撃を与えた。この経験を経た後シェルターへ向かうと、病気の子どもが引き取られていないことに気づいたのだという。

ここから、自分が親から愛されてきたように、病気の子どもたちにも精一杯の愛情を与え、天国へ送り出すことが必要だと思ったのだ。

1997年に生まれた2人の実の子どもは、ハンディキャップを持って生まれ、現在彼の奥さんも亡くなっている。そしてバジークさん自身も病気になったことがあり、子どもたちの孤独に強く共感したのだ。GoFundMeの動画中で、その経緯をこのように語っている。

私は62歳の誕生日の前日、結腸癌と診断されました。とても恐ろしかったです。なぜなら、誰にも看取られず、孤独にこの世を去ることになるから。
 
手術の時、医師に「あなたの家族は?」と聞かれ「居ませんよ。」と答え、「奥さんは?」と聞かれ「亡くなってます」と答え、更に「息子さんは?」と聞かれ、「障がいがあって来てません。」と答えました。
 
本当に怖かった。それが子供たちも感じていることだったのです。

小さい子供たちの恐怖を少しでも取り除いてあげたい、そんなバジークさんの気持ちが伝わってくる。

クラウドファンディングは現在も継続中

彼の活躍が知れ渡ると、カリフォルニアに住む第三者が、今年の2月からクラウドファンディングで支援を呼びかけはじめた。

結果、11月16日現在で約5866万円(518万米ドル)の資金が集まっている。支援金により、空調が整い、20年間休めることがなかったバジークさんに一日休暇が与えられ、子どもたちをホスピスに送るための新しいバンが手に入ったのだという。

支援金によるメッセージは逐一更新されており、子どもたちが暮らす環境が改善されていってるのがご覧いただける。

バジークさんの無償の愛により、これからも多くの子どもたちが幸せに天国へ向かえることだろう。

参照元:YoutubeAdption.LifeFacebookGoFundMe

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