障害を持つ養子を献身的にケアするヒロインとして有名だったロシアの女が逮捕されるという事件が起こった。
なぜ、彼女は逮捕されたのか。その真相は、あまりにも残酷なものであった。
虐待でやせ細る体を難病として偽る
ロシア東部マガダンに住むリューボフという女は、8年前に当時まだ3歳だった孤児、バレリー君を養子として引き取った。そして、この女はその後8年もの間、彼を虐待し続けることとなる。
母親となったリューボフは、バレリー君に自宅学習という形をとらせ、ほとんど外出をさせず、食事もほとんど与えなかったという。
そうすると、バレリー君はほとんど骨と皮だけというようなレベルまでにやせ細ってしまった。その姿を見て、なんとリューボフはバレリー君を病院へ連れて行ったのである。
「あまりに痩せすぎて心配になったのか?」などと思ったが、答えはノーだ。
この女がバレリー君を病院に連れて行った目的は「治療」ではない。なんとバレリー君を障がい者として認定させるためだったというのだ・・・!
「あの子は胃の珍しい病気になっている。こんなに痩せこけて、身長も伸びないの」と医師を騙して薬を処方してもらった挙句、障害児としての認定に成功。
その目的は、疾病手当てや支援金をもらうためだ。他にもチャリティ基金から支援金を受け取り、それらの助成金は全てリューボフのぜいたく品に費やされた。
バレリー君は、少し食事を与えられていたものの、食後に薬を飲まされて意識を朦朧とさせられるなどという虐待を受け続けた結果、11歳にして体重13キロ、身長104cmという体型になってしまっていた。
'Son starved and drugged for years' so foster mum 'could claim benefits' https://t.co/NcIgFnHqWb pic.twitter.com/XwvB5Gp2N4
— Daily Mirror (@DailyMirror) 2017年11月14日
市長が女をかばったために捜査が混乱
どんどん衰弱していくバレリー君。
8年経った今年5月に、違和感を感じた州当局がようやく虐待事件を疑い始め、捜査を開始したという。
しかし、献身的に病気の養子の面倒を見る女性として有名であった彼女。なんと同市市長が自ら、「彼女はそんな人間ではない。子どもを返してあげろ」などと抗議を申し出たのだ!
おかげで捜査は一時混乱するも、捜査は本格化し、リューボフは無事に詐欺罪および児童虐待罪などで逮捕されたという。
8年間も虐待を続けた彼女の有罪が確定すれば、10年の懲役が科せられる。
現在、バレリー君は、痩せすぎてはいるものの、健康状態に問題はないらしく、徐々に体重も取り戻しつつある。
バレリー君の命が失われる前に、今回の事件の真相が発覚して本当によかった。彼が3歳から11歳という、成長において大切な時期にリューボフから受けたダメージは、心身ともに計り知れないものだろう。
そう考えると、懲役10年というのは、軽すぎる刑であるように思えるのは筆者だけであろうか。