冬眠し損ねたクマさんか?
ロシア、シベリア地方。この地は12月になると、最低気温-24度にまで冷え込む極寒の地である。この地域に住む人々や動物たちは、命にもかかわるようなこの寒気と戦うことになる。
その極寒の街で活動するアニマルシェルターのスタッフが、12月初旬、一匹の動物がうろついているのを発見し保護したのだという。クマともイヌと似つかないその顔立ちから、ロシア語でクマを意味する「ミドヴィド」とイヌを意味する「サバーカ」を混ぜあわせ「ミドヴィバーカ」という名前を付けられた。
写真がロシアのSNS・VK.comでアップされると大きく拡散し、「クマと犬のハーフか?」といった反応が次々とやってきたという。
Cruelty behind the 'Bear-Dog' internet sensation. Mixed breed is too traumatised and aggressive to find an owner, say animal activistshttps://t.co/HhIczeCvkn pic.twitter.com/LQiJoUzca4
— The Siberian Times (@siberian_times) December 17, 2017
目鼻立ちが明らかにクマに似ている。
イヌの中でもなかなか見ない目つきをしているが、その目には悲しみが漂っている。シェルターが調べた結果、この動物は生物学的にイヌであることが確認されたのだ。
ミドヴィバーカを保護したアニマルシェルター「ナッシュ・ドム」のスタッフ、ポリーナ・キーフェル氏は、地元紙シベリアンタイムズの取材に対し、チャウチャウ犬と他の鼻の長い犬のミックス種の可能性があると答えている。
ミドヴィバーカのうろついていたチェリャビンスクでは、無責任に販売目的で繁殖させるブリーダーが問題になっていた。市場価値の高い種類の子犬にみせかけて販売し、大きくなったら別の種類だったことが発覚する・・・という詐欺まがいのことを行っているのだという。
「このように育てられたイヌが大きくなれば、飼い主は壊れたおもちゃの様に捨ててしまうのです。」・・・キーフェル氏はこのように胸中を明かしている。
以上の経緯はあくまでアニマルシェルター側の推測とされているが、強いストレスにさらされ、人間への信頼を完全に失ってしまった瞳をしている。ミドヴィバーカが抱えてきた孤独を物語っているようだ。
実際にキーフェル氏が近づいたとき、彼はひどく暴れ、噛みついても来たのだという。今でも彼はなかなか餌を食べてくれず、首輪にトラウマを持っているせいか、ヒモの類を強く拒絶するのだという。彼が心を開いてくれるまで何か月もかかるだろう。
「見た目が面白いイヌ」として大きな話題を呼んだミドヴァーカには、このような悲しい背景が存在していた。
彼の実態に胸を痛めた多くの人がシェルターを助けるために支援を寄せ始めている。それに対し、キーフェル氏は日々ワクチンを打ったりリハビリをしたりして更生していく様子を書き綴っている。
そして最後にキーフェル氏は、「何日、何か月かかっても、彼がまた人を信頼できるように努力します。また心を開いてほしい。」と献身的なコメントをしていた。
ミドヴィバーカが元気になれば、世界で唯一の個性を持った特別な存在として愛されるに違いない。彼が再び幸せになるのを願うばかりである。