人間界では、防腐処理を施していなくても、様々な環境要因が重なって腐ることなくミイラ化する現象が確認されている。
その例として、紀元前4世紀に亡くなったとみられるトーロンマンと呼ばれる遺体がまず挙げられる。死蝋化によって美しく、今にも息を吹き返しそうな状態で保たれており、現在デンマークにある博物館に収蔵されている。
一方、動物界では食べられてしまうためか、動物がミイラ化し残り続ける姿はなかなか見られない。そんな中、特殊な状況下で手つかずになっていた犬の遺体が、アメリカで発見されたのである。
本物の犬のミイラが写っているため、閲覧注意だ!!
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木を切るとそこには・・・!?
1980年代、アメリカ・ジョージア州のジョージア・クラフト社の作業員は、材木用にチェスナッツオークの木を伐採していたという。
それを運送用トラックに乗せようとしていた時、断面を見た作業員の一人がなんと木の間にミイラ化した犬がいるのを発見したのだ。
木の空洞とみられる部分には、白みがかった茶色の犬がギッチリと挟まっていたそうだが、腐臭などはなく、生きていた時の姿とほとんど同じような見た目でうろの中に取り残されていたのである。
死後何年もたっていることが推測され、作業員はすぐに博物館の専門家の元へ足を運び、この犬の調査を依頼した。
この犬について調べたバーサ・スー・ディクソン氏は、この犬は1960年代に死亡したと推定されており、乾燥したことで腐食を免れたのだろうと推測している。
更に犬が挟まってしまった状況については、何か小さな獲物を追いかけて、木の根元にある穴から入り込んだまま抜けなくなってしまったのだろう・・・とみているという。
しかし、特別な防腐処理を施さずミイラの姿を長期間保つことは可能なのだろうか?
低い湿度の環境が生み出した奇跡
▲木のうろのイメージ
米メディアNewsweekが、西フロリダ大学で生物人類学の研究をしているクリスティーナ・キルグローブ教授にインタビューをしたところ、犬のミイラ化の過程についてこのように語っていたという。
通常、人間や動物が死んだとき、免疫機能は機能しなくなり微生物が肉体の分解を始めます。しかし、今回犬が挟まっていたチェスナッツオークには多くのタンニンが含まれています。
タンニンは革なめしなどに必要な防腐成分です。また乾燥剤としても使われており、湿気を吸収して乾燥を促したのでしょう。
さらにキルグローブ教授は、低湿度の環境が微生物の活動を抑え、腐食を止まらせた可能性があるとの見解を示している。たまたまこの木を選びこの様に遺体が保たれたのは、ある種の奇跡と言っても過言ではない。
挟まってしまった犬はかわいそうではあるが、多くの専門家たちがこの保存状態の良さに興味を示しているそう。
なお、現在この犬はジョージア州にあるサザン・フォレストワールド博物館にて展示されており、訪問者に親しみを持ってもらおうと、Stuck(”はまる”の意)になぞらえて「Stuckie」と名付けられたという。
参照元:Wikipedia、Facebook、Pinterest ①、②、Instagram
追記:2019年10月18日 内容を一部修正しました