現代の即身仏
みなさんは、即身仏というものをご存知だろうか。日本では古くから密教で行われてきたが、苦行を積み死んだ僧侶は腐ることなくミイラとなる。仏となった僧侶たちは、数百年たった今でも朽ちることなく保っている。
こちらの記事では、1100年前に即身仏となったと思わしき僧侶が入っている仏像を紹介している。
しかし、こうした苦行を経ず病気で亡くなったとある高僧が、まるで即身仏のように変化したということで話題になっている。その理由は、普通であれば腐敗してしまうはずなのに、なぜか生前とほとんど同じ姿を保ち続けていたからだ。
この人物は、ルアン・ポー・ピアン。(写真は生前のもの。)タイ中心部ロッブリー県の寺院の高僧だったが、昨年11月16日、92歳でバンコク市内の病院で亡くなっている。
カンボジアの貧しい家の出だというが、49歳の時タイで僧侶となって以来自らを人々の平和に捧げ、天寿を全うした。タイ国内屈指の僧侶と言われ、たくさんの人々に愛されていたそうだ。
逝去してすぐに寺院の敷地内に埋葬されたというが、2か月後に弟子たちがルアン氏の棺を開けると、一切腐っておらず、生きていた時のままの姿で現れたのである。以下がその時の写真だが、とても亡くなっているとは思えない。
涅槃(ねはん)の境地に達したルアン氏の表情は、生前と同じ微笑をたたえ、とても穏やかである。これには多くの弟子たちが衝撃を受けながらも、徳の高さを感じありがたく思ったそうだ。
ちなみに、タイでは故人の立場に応じて日本の通夜にあたる儀式が長くなる。有名人や交友関係の広い人ほど通夜の回数は多くなり、火葬をするまでに時間がかかるのである。ルアン氏もまた100日後に火葬が行われる予定なのだという。
ルアン氏の袈裟は新しく清潔なものに取り換えられ、弟子たちは最後の火葬にかけての100日間、彼のために祈り続ける。