「自由な気持ちで、料理に情熱を注ぎたい」
素晴らしい料理を提供してくれるレストランを紹介する、ミシュランガイド。
料理に従事する人たちにとって、ミシュランは憧れの的だと考えていたのだが、実はそうでもないらしい…
なんと、ミシュランの最高位である三つ星を獲得し続けていたレストランが、今年からガイドブックへの掲載を拒否したのである!
「ミシュランガイドに掲載しないことを希望する」
ミシュランへの掲載を拒否したのは、フランスのレストラン「ル・スーケ」。1999年から、約20年にわたり三つ星を獲得し続けてきた、名店中の名店である。
シェフのセバスチャン・ブラス氏は、昨年9月にFacebookで、「2018年からのミシュランガイドに掲載しないことを希望する」と述べた。
ブラス氏はその理由として、
ミシュランの星付きレストランとして変化を遂げたことに満足しているが、その分星を維持することのプレッシャーは大きい。これからは自由な気持ちで料理に情熱を注ぎ、私たちの店らしい表現でサービスをしていきたい
と述べた。
ミシュランの調査は抜き打ちで行われ、常に「三つ星店」として周りからの重圧にさらされながらサービスを提供する必要がある。
確かにこのような環境の下、料理だけに情熱を注ぎこむのは難しいだろう。
自由な気持ちで料理を追求したいという考えは、痛いほど理解できる…
Ten years after taking over the reins of the hotel/restaurant founded by my father, Michel Bras, in 1992, and honoured with a third star since 1999, I have decided, in accord with all of my family, to open up a new chapter in my career without the recognition of the Michelin guide but with an undimmed passion for cooking. I intend to continue, along with my faithful team, to breathe life into Le Suquet, this magical experience on Aubrac, always in pursuit of excellence.
BRAS officielさんの投稿 2017年9月22日(金)
店の要請に応じた掲載取りやめは史上初
これまでにもシェフの交代やコンセプトの変更を受けて、レストラン側がミシュランへの掲載を拒否した例は存在する。
だが、今回のような理由で掲載を拒否するのは史上初のケースのようだ。
ミシュランはブラス氏の意向を尊重し、2月に発表された2018年のガイドブックに、「ル・スーケ」は掲載されていなかった。
これからブラス氏には、是非とも自由な気持ちで情熱を注ぎ、素晴らしい料理を作ってもらいたい。
現代の社会には、本質に力を入れるのではなく、体裁のようなものを強く意識しなければいけない事柄が多くあるように思えて仕方がない。
今回の例は、我々にとっても深く考えるべき事情を秘めているように思える。