「ガンを消す食事」を紹介していたYoutuber
Amazonで「ガン」に関わる書籍を見ると、上に来るのは「ガンを消す食事」などといった本が多く目立つ。中には本当に寛解するものもあるかもしれないが、ほとんどが意味のないものと見ていいだろう。
患者や家族が死を恐れるのは当然のことだ。しかし、苦しみにつけ込んで儲けようとすることは断じて許されるべきではない。
そんな中、「ガンを治す」と謳ってヴィーガン(絶対菜食主義)の食事を紹介するYoutuberが、ガンで亡くなってしまったという事例が、ついに現れてしまったのである。
このYoutubeチャンネルの名前は、「リズ&マリー」。
マリー・ロペスは末期のがんを患いながら、姪のリズ・ジョンソンと共に自然派食事療法を紹介していた。
マリーは過去に乳ガンを患っていたというが、肉や動物性油脂、砂糖を一切摂らないことで3ヶ月で完治したとして注目を集めていた。
手作りのジュースを紹介したり、インタビュー動画を載せることで、二人のYoutubeチャンネルは1万人以上のファンを抱えていたという。
がんの再発
そんな中、マリーは2016年12月に肺と骨にガンが再発してしまったのである。
それからもリズと共に生の野菜をつかった食事療法を続けていたようだが、症状は一向に良くならず悪化の一途をたどっていたという。
この状況を受けマリーは「今までの動画を全部消してほしい」と頼んだようだが、リズはこれを拒否。
そして、末期だと診断された2017年9月、マリーはそれまで拒んでいた放射線治療や化学療法を選択したのである。
しかし3か月後の12月、懸命な治療もむなしく、マリーはこの世を去ってしまった。
マリーが他界してしばらくたった先日。新たに投稿された動画で語られたリズの言葉が、巷で大きな物議を醸している。
私の叔母が亡くなったのは、ヴィーガンをやめて放射線治療や化学療法を選んだからです。
私はこれからも、このYoutubeチャンネルでヴィーガン食のメリットを伝え続けます。
この声明を公開すると、すぐさま動画のコメント欄には批難する声が入り乱れた。それによりリズはコメント機能を一時的に停止し、ネガティブなコメントをシャットアウトしているという。
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英国栄養士協会の腫瘍専門栄養士のレベッカ・マクマナモン氏は、地元メディアに対してこのように語っている。
ガン診断後の自然療法はお勧めできません。健康になる食生活がガンを治す、ということに科学的根拠はないからです。
人々は様々な理由でヴィーガン食をえらぶことでしょう。それでも、栄養士は治療を通して患者さんをサポートします。
しかし、ガンそのものの治療や手術の経過で、回復のために多くのタンパク質を必要とする場合があります。
世の中に多く溢れている食事療法の数々。それが本当に有効なのかは医学的に証明されていない。
それだけあり、今回起こったマリーの死はヴィーガンの間で大きな衝撃が走っている。