あなたは、ペットと家畜の命の重さをどう考えているだろうか?
この質問は、現代の倫理観では判断しづらい人が多いかもしれない。だが先日、これを鋭く突いてくる悲しい出来事が起こった。
なんと、動物虐待防止協会からペットとして引き取ったはずのブタを、飼い主が食べていたことが明らかになったのだ。
愛情を注いでもらうつもりが
▲生前のモリーの姿
カナダ・バンクーバーにある動物虐待防止協会「BC SPCA」に、モリーという3歳のポットベリー・ピッグがいた。
モリーはそれまで動物実験の実験台になっており、ボロボロの状態で動物虐待防止協会シェルターに迎えられたというが、職員たちの懸命な支援や治療によって回復し、人に心を開くようになっていったという。
そんな中、1月16日、最終的に1組の夫婦が彼女を引き取ることになった。契約書にサインをし、無事新しい家族として譲渡するに至ったのだという。
しかし、ようやく幸せになってくれると信じて送り出したつもりが、残酷な現実が職員たちを襲った。
2月16日のこの日、モリーが飼い主によって殺され、食べられていたことが発覚したのである。
地元メディアの取材を受けた飼い主は、「育て方がわからなかったから、やむを得ず食べ物としてさばいて食べた」とコメント。
カナダの法律では罪にならない
▲同協会のシェルターで保護されているブタたち
このニュースがおおやけになると、飼い主夫婦への非難が殺到し、SNSなどで大きく炎上に至ったという。
その焦点となっているのが、この夫婦が法律で罰せられていないということ。これに対して、動物虐待防止協会の担当者はこのようにコメントしている。
カナダの法律上、イヌやネコ、そしてブタといった動物は”財産”としてみなされ、一度譲渡に同意すればその動物に対する完全な法的所有者になります。
新しい飼い主は、ペットに対してすべての法的権利を持っています。
実情を言うと、カナダでは自分のペットを殺しても違法にならないのです。
犬の頭を銃で撃ち抜こうとと、即死であれば罪に問われないのです。残念ながら、これを罰する法律が存在していないのです。
カナダでは法律上、虐待は厳しく取り締まられる。しかし、苦しませずひと思いに殺すのであれば、家畜として扱おうが飼い主の自由なのである。
カナダのSNSでは、今回の事件を取り締まることができない法律に対する不満が噴出している。
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なお、日本で同様なことをすれば、屠畜場法によって罰せられる。
2015年にも、沖縄県の食肉加工業の男女5名が牛をハンマーなどで殴るなどして殺し、解体した疑いで逮捕されている。法律上、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギは認可されている屠畜場以外で屠殺を禁止されているのだ。
ただし日本の法律でも、愛玩動物と家畜動物は明確に線引きされていない。
今回の問題の焦点である”動物の命の重さ”について、あなたはどう考えるだろうか?