目にしたままの姿を描く画家
目にしたままの、そして感じたままの姿を描く日本人画家、三重野慶(みえのけい)さんの油絵が話題になっている。
水辺に横たわる少女。この光景は、今まさにわたしたちの目の前に見えているものかのような錯覚にすら陥ってしまう。
透き通るような白い肌に濡れた衣服や髪の毛、ひとつひとつ細部にこだわり描写されたこの作品は、三重野さんが約1年半かけて制作した大作だ。
実在するモデルを写真に撮り、作品を制作するという。そして、そこから伝えたい事や感情が生まれるのだ。
実際に、「写真より訴えかけるものが多い」「すごい技術と感性」とツイッターで反響を呼び、三重野さんの精巧な油絵技術はもとより、作品から伝わる感性にも驚きの声が寄せられている。
言葉にならないものをそのまま伝える
油絵だけど写真かと思われてスルーされるけど頑張っててえらい
1枚描くのにに月単位で時間かけて
前の大作は1年半かけて描いて
1枚1枚惰性で描かず目標決めて
適切な努力してえらい#油絵
#軽率に自分を褒めていく見た人もやる pic.twitter.com/VLBhxyoItu— 三重野 慶[email protected]東京 (@mienokei) 2018年5月10日
三重野さんの投稿にあるように、そのリアルすぎる描写から写真と間違えられることも少なくないという。しかし、そのリアルさは写真とは全く違うものであり、描き手からの視点で捉えられた真の姿なのである。
三重野さんは、自身の作品についてこのように述べている。
今感じていることは、どのような感情で、その強さはどのくらいか。それは言葉で伝えることが出来るのでしょうか?
自分の使う言葉の意味と、相手の中の言葉の意味が、全く一緒ということは無い。感情や感覚を言葉にするとき、それは翻訳され形を変えた別のものになってしまう。
本当に伝えたい事を想うとき、どうしてもそう考えてしまいます。私が描こうとするのは、目にしたままの姿です。
眼に映って脳に送られた像と、心で捉えたそれには差があって、感情や認知によって色や形を変えています。
私の中のこの色、形、ひかりをそのまま描くことで、言葉にならないものを全部そのまま伝えたいです。
▲2016年第2回ホキ美術館大賞展特別賞を受賞した作品
三重野さんの作品を実際に見てみたいというファンも多い。今年7月13日~28日にかけて、東京都中央区日本橋茅場町『ギャラリー須知』にてグループ展が開催されるので、是非足を運んでみてはいかがだろうか。
作品を鑑賞する際のポイントとして、「絵の前で近づいたり離れたり、背伸びしたり屈んだりして一番良い見え方をする位置を探して欲しいです」とのことですよ!
許諾元:三重野慶さん Twitter