特に東南アジア諸国を訪れたことがある人なら、ゾウに乗って街を観光したり、檻のなかでトラを撫でたりしたことがあるかもしれない。
日本ではなかなか経験できないことだけに、旅先ならではの醍醐味だと思う人もいるだろう。しかし、それらの行為は果たして動物たちにとって最適なことなのか。
そう問われれば、誰もが口ごもってしまうのではないだろうか。
観光客のために歯を抜かれたイルカ
インドネシアのバリ島では、そこに生息するイルカとの様々なアクティビティを楽しむことができる。
しかし、観光客と泳いだり、ショーのために訓練を強いられるイルカたちは、狭いプールに捉えられ、なんと歯まで抜かれているのだ。
その理由は、イルカとキスをする際に、観光客を傷つけないためだという。
実はこの問題は、あるモデルのインスタグラム投稿をきっかけに、数年前から取り上げられてきた。
歯を抜かれ、10m×20mの狭い塩素プールに捉えられた4頭のイルカ。これは拷問です。
バリ島在住のオーストラリア人モデルが、自分自身の目で現状を確かめるため、リゾートへ足を運んだところ、目にしたのはこのような光景だったのだ。
4頭が泳ぐには狭すぎるプール。特に日中は気温が上がり、温水プール並みの水温になる。日々の訓練や劣悪な飼育環境が、イルカたちに与えるストレスは相当なものだろう。
世界動物保護団体のキアラ・ヴィタリ氏は、イルカの歯を抜いたり、角を削って滑らかにするという行為は外傷を負わせ、寿命にも影響を与えると話している。
観光客の数とともに増加する動物の苦しみ
該当するリゾートに報告書の提出を求めたところ、「イルカたちはプールで育てられたため、歯が成長しなかった」と主張したというのである。
これに対し研究者たちは、イルカは歯を使って優位性を確立し、また水中で音を吸収したり検出したりするのに歯が必要不可欠のものであることから、リゾート側の主張はまったく筋が通っていないと話す。
バリ島が観光客から人気を集めるとともに、そこに暮らす動物たちの苦しみが年々増え続けている。今回の調査で26箇所の施設を訪れたものの、動物の生態を考えると、どの施設もニーズに合致しなかったという。
これはなにもバリ島に限ったことではない。
ここ日本でも劣悪な環境に置かれている動物たちもいるかもしれない。世界動物保護団体は、これは動物のアミューズメントパークではなく、アビュースメントパーク(虐待園)だと声を挙げている。
今世界各地では、このような動物虐待につながるツアーや旅行会社を利用しないというボイコット運動が起きている。この運動に賛同することで、ひとつでも多くのアビュースメントパークがなくなることを願いたい。
#Bali might seem like paradise, but it’s hell for wild animals.
Our shocking report reveals the horrifying scale of suffering for 1,500 animals in tourist attractions.
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World Animal Protectionさんの投稿 2018年5月22日(火)