EUから出たから殺処分だって!?
島国の日本ではあまり想像ができないが、ヨーロッパなどの地続きの国では、時折動物が国境を越えて脱走する事件が起きるという。
中でも大問題となるのが、家畜の国境を越えた脱走である。国によって酪農の法律が変わってくることが原因で、自国の家畜を保護しようと問題がこじれることがあるのだそうだ。
今回起きてしまった事件は、その最たる例と言えるだろう。
なんと、ブルガリアの牧場からセルビアに逃げてしまった牛が、命の危機に直面しているのである!!
これにより、牛を所有している男性は強い憤りを示しているという。
この度セルビアに不法入国してしまったのは、牛のペンカ。妊娠中の雌の牛だ。
ペンカはブルガリア北西部に位置するコピロフチという村にいたというが、オオカミに追いかけられて脱走してしまったのである。
飼い主であるイワン・ハラランピエフさんは、なんと2週間にわたって探していたのだそう。
そして6月の初め、ペンカはセルビア国境近くの街ボシレグラードにて、のん気に草を食べている姿が発見された。セルビアの人々によってお世話をして貰っており、健康面の問題は全くなかったという。
イワンさんは安堵し、ペンカをブルガリアに連れて帰ろうとしていたようだが、そこでセルビアの警察からストップがかかったのである。
ペンカはブルガリアの検疫を受け、適切な輸入手続きをしないと殺処分すると言われたのだ。
EUの法律には、非加盟国であるセルビアから加盟国のブルガリアへ家畜を連れて行くには、EU国境検査所で輸入検査を受ける必要があるという。
セルビアの獣医さんによってペンカの健康状態は問題ない証明されたにも関わらずである。
更に不幸なことに、ペンカの出産は3週間後に迫っていた。輸入手続きをとる時間は残されていなかった。
この危機がインターネット上で拡散されると、多くの人たちがペンカを救おうと立ち上がり、Changeという署名サイトでは、現在1万8千人以上の声が集められている。賛同者が2万5千人を越えれば、ブルガリアの首相に陳情が渡るとのこと。
ペンカと飼い主さんに立ちはだかる法律の壁。なんとか安全にブルガリアに戻ってほしいものである。