郵便局員、レプリカであると気づかず
うっかりしてしまった小さなミスで、大きな損失を出してしまうなんてことは珍しくない。そのためにも、個人の裁量ではなく複数人でミスチェックをするのが理想的である。
・・・だが、今回の切手のミスは誰にも気づかれなかったうえ、事態がこじれた結果、4億円ものお金が吹っ飛ぶことになってしまったのである。
問題の切手と言うのがコチラだ。(下の画像左)
この写真を見たほとんどの人が、「自由の女神が入ってるけど、どこがおかしいの?」と疑問に思った事だろう。
実はこの自由の女神、ニューヨークにある自由の女神像ではなく、ラスベガスのカジノホテルに設置されているレプリカの女神像だったのだ。
デザインを作成した業者は画像サイト「ゲッティイメージ」から購入した画像を使用していたようだが、デザイン作成時点から印刷まで誰も気づかなかったとみられている。
このレプリカ像が印刷されていたことは2011年に発覚していたが、すでに30億枚が発行済みだったために取り返しがつかなくなっていた。
アメリカ合衆国郵便公社はこの間違いに気づき次第すぐに謝罪したが、リコールなどは行われず、切手カタログの修正のみの対応にとどまったという。
しかし、2018年7月に入り、事態は思わぬ方向へ急転した。
レプリカの作成者が郵便公社を訴える!?
この流れに待ったをかけたのは、ラスベガスのレプリカ像の作者であるロバート・ダビッドソン氏。
同氏は、写真を無許可で使用したうえに、ロイヤリティを一円とも払われていないという事を訴えているが、郵便公社側は、「歴史的建造物のコピーであり、レプリカ品には著作権の保護は発生しない」と反論。
これに対しダビッドソン氏は、「本物をそっくりそのまま作ったわけではなく、ラスベガスの街並みに合うように表情をよりセクシーで若々しくした。」と主張。あくまでもコピー品ではなく、ダビッドソン氏自身のアート作品であることを強調した。
これを踏まえ、最高裁は未使用で残っている切手の5%のロイヤリティ、既に使用された切手の損害賠償5000ドルの支払いを命じた。
最終的に、郵便公社は合計約4億円(355万ドル)を支払う事となってしまったという。
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レプリカ像を所有しているラスベガスのホテル側は、「切手になった初のカジノホテルという冠をいただき光栄です。」と喜んでいたそうだが、思わぬ作者の登場に水を差されたことだろう・・・。
思わぬ勘違いがうんだミスにより4億円の被害がでてしまった郵便公社は、とんだ災難だったといえるだろう。デザイナーはどれだけ重い責任を取ったのだろうか・・・。