執拗につきまとう女
男性から女性へのストーカー事件は昔から多く取り上げられている。しかし、男性もまた悪質な女ストーカーに悩まされていることも忘れてはならない。
今回お送りする出来事は、イギリス・オックスフォードシャーでバス運転手をしている男性が、6年にもわたるストーカー被害を受けた事件である。
イマー・マートンさん(32)は、ハンガリー出身のバス運転手。
ストーカーとの最初の出会いは2012年のこと。仕事中にランチを食べていると、いつも乗車してくる若い女が話しかけてきたという。
その際「一緒にデートをしてほしい」といわれたというが、当時マートンさんにはガールフレンドがおり「できない」と答えたそう。
するとまるで子供のように大声で泣き叫び始め、ひどく驚いたという。
そこから、女のマートンさんへのストーカー行為はエスカレートしていった。乗車禁止の措置を取ろうとも、彼女は仕事の時間をすべて把握し、外を出歩けば必ず後ろについてくるのである。
動画の途中には、店の前や街角から監視し続ける女の映像が写っている。誕生日やメールアドレス、車のナンバープレートまですべて知られてしまい、更にはガールフレンドと別れるまでに至ってしまったという。
その後、何度も通報を行いやっと逮捕された。彼女の正体はチャーリー・ホーウェル(23)という人物であることが判明した。
被害を軽んじる警察
こうしてマートンさんの生活は平穏を取り戻すかと思われたが、そううまくいかなかった。
ホーウェルは当初2年の実刑判決を下されたというが、なぜか4か月で釈放となり、激怒したホーウェルはマートンさんの家の玄関にナイフを持って現れたのだ。そして「あなたを殺して私も死んでやる」と脅迫したのである。
耐えかねて警察に駆け込むも、「それって犯罪なの?」「女に一途に追いかけられることがそんなに嫌なことなのか?」と笑ってあしらわれ、酷いショックを受けたという。
しかも、ホーウェルに接近禁止令を言い渡す時に、マートンさんの本名をすべてばらしてしまったことで、つきまといは更に悪化。
こうしてつきまとい行為に耐え続け、生活は破産寸前だった。そんな中、ホーウェルは度重なる警告や禁止を破ったとして再び逮捕され、5年の懲役を課せられた。
その後の警察の調べにより、ホーウェルはマートンさんを殺害する計画を本当にたてていたことも発覚している。
彼は今でも、家を引越し、窓を閉め切って人と会わないように生活をしている。その後のBBCのインタビューでは、「彼女のせいで、僕の生活は小さくしぼんでしまった」と胸中を明かしている。
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男だろうと女だろうと、ストーカーは犯罪者に変わりない。文中で取り上げた「女に追いかけられて喜ばないはずがない」というのは誤った考え方だろう。
どんな人でも「助けて」と声をあげられるような社会を目指したいものだ。