倉庫の奥から伝説のお宝を発見してしまう!!!
どうも!視力は0.8の福井です。
突然なんだが、みんな聞いてくれ!
昨日会社の倉庫を整理していたら、こんなものを発見してしまったぞ!
サビッサビに錆びついた包丁だ!
この錆び具合!こ、これは!伝説の、、、
伝説の名刀にちがいない!!!!!!
どぉりゃーーーーー!轟け!稲妻ーーーー!!
あれ?何も起こらぬ!伝説の名刀ではないのか!?
そうだ!edamame.編集部のある大阪市のお隣さん、堺市は刃物の街だった!
プロの刃物職人さんなら、これが伝説の名刀かどうかわかるに違いない!
伝説の名刀の価値が分かるのは、伝説の名工のはずだ!と半ば強引に堺行きを決定!
刃物の街=堺のプロの職人さんに錆びた包丁を研いでもらったぞ!
というわけで、ずうずうしくも、ズタボロの包丁を持って、堺の刃物職人さんの元に向かった!
名工の元へは阪堺電車の高須神社駅から歩いて5分くらいだったぞ!
やってきたのは、八内刃物製作所さん。創業70年を越える老舗。この風格!ここには名工がいるに違いない!
今回、包丁の研ぎ直しをお願いしたのは、三代目の八内剛志さんだ。男前だ!
おお~!見たことない機械が置いてある。
たくさんの刃!刃!刃!
匂いも少し焦げたような何ともいい匂いがする。男のロマン溢れる空間だ。
おっと見とれている場合ではない!本題に入るぞ!
これなんですが、、、伝説の名刀ですよね?
あれ?
え?
怒ってます?
八内さん「とりあえずこのトマトを切ってみてください。」
八内さんがまな板とトマトを用意してくれた。
切ればわかるというのだろうか?
まあやってみればわかるだろう!
いざ、切らん!!
しかし、、、
・・・
・・・
・・・
・・・
き、切れない!!伝説の名刀なのに、、、!!!トマトが潰れる!
八内さん「それはただの錆びた包丁です。」
え?
そう言えば、今切った感じで思い出したが、数年前の夏、バーベキュー用に買ったような・・・。
八内さん「でも、せっかくだから研いでみましょう!」
なんと!このただの錆びた包丁を研いでくれるというのだ!
八内さん「しゃーなしやで~。」
お願いします!
思いやりに溢れた名工が堺にいた!!
研ぎ直し開始!!
さっそく錆びた包丁を研いでもらった!
シャシャシャシャシャシャッ!
熱を冷ますため水を噴き出しながら回る円砥(えんと)とよばれる砥石で、火花を散らせながら研ぐ。かっこいい!
ここでほとんどの錆びを落としてしまう。
錆は早くも落ちたが、ザラザラとしている。
シャシャシャシャシャシャッ!
目と指先で確認しながら研いでいく。
包丁の研ぎは、各包丁によって異なるという。一つ一つの特徴を見分けながら、神経を集中した作業が続く!
作業は徐々に繊細になる!
シャシャシャシャシャシャッ!
仕上げは機械を使わずに丁寧に砥石で研ぐ。
そして、研ぎ直しが完了!
授かりつかまつりたてまつりぞんじますりまする!
あれ?
やっぱ怒ってます?
ついに、錆びきった包丁が・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
見事なまでのビフォーアフター!キラーン!!復活!!これが、錆を落とした伝説の包丁だ!(嘘)
さあ!肝心の切れ味は・・・?!
何だ!この切れ味は!?豆腐か!?
スーーーーーーーーーッ!!包丁の重みだけで切れていく!
ハッハハハハハハハッ!!
生まれて初めてトマトを切りながら笑ったぜ!しかも買った時よりもよく切れる気がする!
茶色に錆びきった包丁をここまで復活させるとは、、、!
これが堺の刃物職人の実力だ!!
よぉぉぉし!
どりゃぁぁーーーー!
これは、やはり伝説の、、、!!!(大嘘)
600年の伝統を誇る堺の包丁はここがちがう!
正直、あの錆びた包丁がここまで切れるようになるとは思わなかった。
これが世界に誇る伝統の技なのだ。
600年の伝統に裏付けされた、たしかな技術から生み出される堺刃物。
歴史を紐解けば、16世紀後半にポルトガルから伝わったタバコの葉を刻む包丁として作られるようになった「タバコ包丁」がはじまり。
江戸時代には幕府から「堺極(さかいきわめ)」の印を受け、専売品として、その名を全国にとどろかせていたそうだ。
希望にあわせ、厚さや長さを数ミリ単位で仕上げるその技術は、料理人からの支持も厚く、業務用包丁の90%以上のシェアを誇っている。
この圧倒的な支持は国内だけにとどまらず、和食ブームの波に乗って世界中の料理人にまで広まっている!
堺の和包丁は、これまで片刃が主流ではあったが、近年世界的な評価が高まり、両刃の需要が増えている。
コンパクト和包丁「YAUCHI」
上の写真は、ドイツのiFプロダクトデザイン賞2014を受賞した逸品!八内さんの、「良い物へのこだわり」が生んだ名刀だ。
しかし、両刃の需要が増えたとはいえ、作製するためには、ある意味片刃を作る以上の精密な技術が必要。
八内さんは、その両刃の堺包丁を作っている数少ない職人なのだ。
鍛え上げられた鉄製の包丁は切れ味よく、長持ち!
堺の包丁は、そのほとんどが鍛冶屋で鍛えあげられた鉄製で、切れ味よく、さらにその切れ味が持続する。
八内さんの工房に柄の無い刃がたくさんあったが、これは鍛冶屋さんから問屋さん経由で仕入れた鋼生地(はがねきじ)だ。八内さんは、研ぎを専門に行う「研ぎ師」。堺の刃物産業の特徴は分業なのだ。
誰でも堺刃物の研ぎ師の方に「研ぎ直し」をしてもらえる!
そんな堺刃物の研ぎ師の方に、自宅にある包丁の研ぎ直しをお願いできるというのをご存じだろうか。
今回お訪ねした八内刃物製作所さんもそうなのだが、切れ味が落ちた包丁を「研ぎ直し」をしてくれる。
もちろん、家庭でも包丁の研ぎ直しはできるのだが、だんだん刃が歪んできたりして、本来の切れ味を出せなくなることもあるそうだ。
そんな時は、一度「研ぎ師」の方にお願いすると、見違えるように復活する。
一番手軽に堺刃物の研ぎ師の方に研ぎ直してもらう方法は、堺伝統産業会館で毎週行われている「包丁研ぎ直し」実演に行ってみるのがいいだろう。
切れにくかった自宅の包丁が、見違えるほどの切れ味を取り戻すこと間違いなしだ。
堺伝統産業会館の2階にある堺刃物ミュージアム
また堺伝統産業会館では、刃物の販売も行っているので、堺刃物を手に入れたいという方は是非足を運んでいただきたい。
情報提供:堺市
取材協力:八内刃物製作所
撮影:edamame.編集部