突如舞台の隅で震えだすトラ
自転車に乗るサルや火の輪くぐりをするライオンなど、かつてサーカスには動物がつきものなイメージがあった。だが2018年に入り、世界各国でサーカスで動物利用を禁止する法案が立ち上がっており、こうしたサーカスはほとんど姿を消している。
そんな中でありながら、ロシアでは現在でも動物を使ったサーカスが開かれているが、先日、虐待を疑われる衝撃的な瞬間が捉えられてしまった。
痛ましい様子が映っているので、閲覧には少々注意していただきたい。
このサーカスは、ロシア・チェリャビンスク州で開かれていたもの。これに出ていた6歳のアムールトラであるゼナがある行動を示し、サーカスの空気は一変した。
公演の途中、トラの火の輪くぐりが行われたが、ゼナは客席側で立ち止まる。
するとゼナは何かしらの発作を起こし、その場で手足をばたつかせると、片足を上げて固まってしまったではないか。
当初、客席は盛り上がる様子を見せていたが、その内ゼナのただならぬ様子にどよめきはじめる。
調教師のアルトゥール・バグダサロフ氏が、尻尾を引っ張ったり、水をかけて動かそうとするも、ゼナは網に爪を引っかけたまま気を失ってしまっている。この手荒な扱いに、ロシアのSNS界隈では「虐待ではないか?」という声が広がり始めた。
これを受け、動画にも登場していたアルトゥール氏は、「前例のない事で困惑しました。ただ、トラは本能的に弱った個体を攻撃するため、とにかく他のトラから引き離そうとしていました。しかもゼナは体重が200キロ以上もあるので、尻尾を引っ張る他なかったのです。」と弁明。
また、同サーカスの調教師のカリーナ・バグダサロフ氏も、メディアの取材に対しこのように語っていた。
アルトゥールの行動は、他の動物たちを落ち着かせるための適切な対応でした。明らかに彼はゼナのことを心配していました。
大型動物は血糖値が下がるとこの様な状態になりやすいのです。おそらくホルモンの影響で、血圧が急激に下がってしまったのでしょう。
以前の検診で健康上には問題はありませんでしたが、モスクワに戻ったら腎臓と肝臓の検査をする予定です。
しかし、次回の公演までは食事療法だけで対応すると発表しており、更なる批判を浴びている。
同サーカスはロシア国内でも人気の催しで、アルトゥール氏とカリーナ氏で3代目となる由緒あるグループである。動物愛護精神が強まる昨今では、ますます風当たりが強くなることだろう。
参照元:Youtube、Daily Mail