家族が余命宣告されたとき、できる限り望みを叶えてあげたいと思うのは当然のことだろう。
ガンで余命僅かと医師から告げられたリッチ・モーガンさんの望みは「スティーブズ・ピッツア
をもう一度食べること」。しかし、ホスピスに入った彼のその望みを叶えることは難しく、誰しもが半ば諦めかけていた。
なぜなら、ミシガン州にあるスティーブズ・ピッツアは宅配サービスなどはしておらず、そのうえ現在住んでいるインディアナ州と350㎞も離れているからだ。
3時間半運転してピザを届けた若者
10月16日、スティーブズ・ピッツアで勤務していたダルトンさん(18)は、1本の電話を受けた。
電話の主はこう話した。
私の義理の息子はお宅のピザの長年のファンです。大好物のピザをそこまで買いに行きたかったのですが無理になりました。容態が悪化しホスピスケアに入ってしまったのです。せめて彼にメッセージかカードで激励の言葉をかけてあげることは可能でしょうか?
20年前までミシガン州に住み、スティーブズ・ピッツアがリッチさんと妻ジュリーさんのお気に入りだったこと。お金がなくても給料日には必ずピザを食べに行ったこと。今週末のジュリーさんの誕生日にはミシガンまで行きスティーブズ・ピッツアでお祝いする予定が容態悪化でICUに入っていたこと。今でもその味以上のピザに出会えていないことなど、特別な思いを知ったダルトンさんは、カードを贈る以上のことをしてあげたいと思ったという。
そして、リッチさんが好きなピザの種類を確認すると、午後11時に店を閉め、2枚のピザを持って自分の車に乗り込んだダルトンさん。
なんと、3時間半かけてリッチさんのもとへピザを届けたのである。
午前2時30分に思い出のピザが到着
そんないきさつを全く知らなかったリッチさんとジュリーさんは、午前2時30分の突然の来客に驚きを隠せなかった。
リッチさんの願いを叶えるために、就業後に長時間運転をして思い出のピザを届けてくれたダルトンさんを抱きしめ、感謝してもしきれなかったという。
ダルトンさんのあたたかい心に触れ、せめて今夜はゆっくり休んでほしいとホテルを提供したというが、翌日も仕事があるからとダルトンさんはそのまま岐路についたという。
後日、ジュリーさんはFacebookにこんな投稿をしている。
ダルトンは私たち家族を一気に幸せにしてくれました。最高のピザを持ってきてくれてありがとう。本当に苦しく難しい時間だけど、あなたの優しさによって救われました。
夫妻は世界一のピザを食べながら、思い出話に花を咲かせたことだろう。
参照元:Facebook