保育士公認で園児が殴り合い
保育園や幼稚園という環境でケンカが起こるのは珍しくないが、通常なら園児の手が出る前に保育士が制止するだろう。
にも関わらず、今回問題となった保育園では、保育士公認でケンカの試合が行われていたのである。
その様子が捉えられた映像は、まるでプラッド・ピット主演の映画「ファイトクラブ」を彷彿とする光景だ。
事件が起こったのは、アメリカ・ミズーリ州セント・ルイスにある保育園。
ここで2016年12月、保育士が園児同士に殴り合いをさせるファイトクラブが行われ、その様子がネット上に掲載された。
当時、ここを訪れていた10歳の少年が自らのiPadで撮影したというが、彼の弟が3回も戦わされ、泣いていた姿を見てとても心配になったという。
映像の中には盛り上がっている保育士が映り込んでおり、止める意図は感じられない。唯一救いとなっているのは、柔らかい素材で出来ていたグローブをつけていることだけだろう。
これを見た、撮影者の母であるニコール・マーセルさんは、地元メディアの取材に対し「息子はなんで親友とケンカするのか理解できているようには見えません。その日は彼の4歳の誕生日だったのに、なんで親友に殴られなければならなかったのでしょう。」と泣きながら答えていたという。
マーセルさんは自身の10歳のお子さんは、動画を撮影するとすぐに母親に送信してきたとのこと。園に電話をかけてやめるように申し出たというが、その後も試合は続き、お子さんが「園が戦わせてるから僕には止められない」と返信してきたという。
その後の警察の調べで、園の監視カメラに映っていた映像から、およそ30分もケンカが続いていたことが明らかになっている。
園の様々な問題が浮上
地元警察の報告によると、児童虐待の通報を受けた園はすぐにファイトクラブを開いていた保育士2名を解雇したとのこと。
さらに州の調査が入った結果、1日に約26回に及ぶ児童への暴力が確認されており、園児の一人も「先生に押し飛ばされたり、掴まれて地面に押さえつけられたりした」と証言していたという。
しかし、これだけの証言などがありながらも州は園の追訴を拒否。その理由についてセントルイス弁護士会は「法律違反を証明するには十分な証拠が残っていません。ですが、子供の安全に監督する責任を負うはずの大人たちのひどい感性を許すわけでは一切ありません。」と話す。
園への処罰が下されなかったことに、保護者たちは納得できるはずがないだろう。厳正な対処がされることを願うばかりである。