観客の目の前で起きた大クラッシュ
11月18日、今年もマカオで『F3 マカオグランプリ』が開催された。
1954年から続くこの伝統的なレースは、モナコGPと同様、市内中心地の公道を使用しておこなわれる世界的に有名なレースで、毎年11月中旬に開催されているものだ。
その決勝レースのさなかに、目を覆いたくなるような大事故が起きてしまった。
レーサーたちが猛スピードでコーナーを曲がって行く中、15番目にコーナーに差し掛かかった車が前方の車に乗り上げてしまい、その勢いのまま宙を舞ってメディア用の撮影エリアへと突っ込んだのである。
動画からもそのスピードは伝わってくるが、事故当時時速約276㎞で走行していたというのだから、その衝撃は計り知れない。
日本人を含む5名が搬送されるも命に別状なし
宙を舞った車を運転していたのは、今レースで唯一の女性ドライバーだったソフィア・フローシュ選手(17)。将来を有望視された若きドライバーである。
この事故でフローシュ選手はもちろん、前方を走行していた日本人レーサー坪井翔選手と撮影していたカメラマンの男性、他2名の計5名が病院へ搬送されたという。
皆さんにご心配おかけしましたが、病院へ行き、精密検査もしてもらい、体は大丈夫です。25号車の彼女も命に別状はないそうです。取り急ぎご連絡致します。ヘルメットにも傷がついていましたが、本当に運が良かったです。 pic.twitter.com/kfFbRfxFPu
— 坪井翔 (@RaceSho) 2018年11月18日
その後、坪井選手は自身のツイッターで無事退院し、帰国したことを報告している。
最も容態が心配されていたフローシュ選手だが、昨日、彼女も自身のSNSで11時間に及ぶ手術を無事終えたことを報告し、現在は病院で経過観察をしている状態だという。脊髄を骨折した彼女だが、一番懸念されていた麻痺の恐れもないとのことで安堵の表情を見せている。
死と隣り合わせのスピードレースだが、これだけの大事故にもかかわらず犠牲者が出なかったのは、まさに奇跡だったといえるだろう。