【感動物語】愛しているのに会えない…「夫アレルギー」と闘うアメリカの夫婦

健康

助かる方法は、会わないこと

病に苦しむ最愛の人がそばにいるのに、手を触れられない、隣にいられない…あなたはそんな状況に耐えられるだろうか。

Scott Watkinsさんの投稿 2016年7月15日

幸せな結婚生活、のはずが…

アメリカ・ミネソタ州に住むJohanna(ジョアンナ)さんはどこにでもいる普通の女性。少しアレルギー体質であったが、至って健康であり、教師として働いていた。

そんなある日、彼女は、同じく教師のScott Watkins(スコット・ワトキンス)さんと出会い、恋に落ちた。

Johanna Watkinsさんの投稿 2012年10月8日

Johanna Watkinsさんの投稿 2013年12月30日

彼女はスコットさんと愛を育んだ末、2013年に晴れてゴールイン。幸せな結婚生活を迎えることとなった。

Johanna Watkinsさんの投稿 2013年12月30日

幸せな結婚生活を送っている間に、ジョアンナさんのアレルギー体質は少しずつ悪化していき、多くの食物に反応を示すようになった。それでも夫のスコットさんは、彼女が食べられる料理を作ってあげるなど、懸命に手助けをしていた。

しかし、スコットさんの手助けもむなしく、ジョアンナさんの症状はひどくなっていく一方。なんと多くの人にまでアレルギー反応を示すようになり、さらには両親にまで反応するようになってしまった。このような状況でも、スコットさんは彼女のサポートをし、幸せに結婚生活を過ごせるよう努めていた。

そんな2016年のある日、最も恐れていた事態が訪れてしまう。ジョアンナさんは、愛する夫スコットさんにまでアレルギー反応を示すようになってしまったのだ。顔を近づけると咳がでるようになり、最終的には同じ部屋にいるだけで息苦しくなってしまうようになった。

その時から、二人は愛し合っているにもかかわらず、別々に暮らすことを余儀なくされた。

実はジョアンナさんは、重度のマスト細胞活性化症候群”MCAS”という病気を患っていたのだった。

あらゆるものに反応してしまう、マスト細胞活性化症候群

マスト細胞活性化症候群とはいったいどのような病気なのだろうか。

この症状は自然免疫細胞であるマスト細胞というものが、過度に働いてしまい、一般には反応しない物質にまでアレルギー反応を示してしまうというものだ。

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花粉や細菌、ウイルスなどが人体に侵入すると、熱やくしゃみなどが免疫反応として現れる。マスト細胞はその免疫反応を起こし、ばい菌から人体を保護する役割を果たす細胞で、人にとって必要不可欠なものである。

だが、マスト細胞は正常に働かないときや免疫反応が強すぎる場合があり、その際、発疹や喘息などの過度のアレルギー反応として現れる。これが、マスト細胞活性化症候群だ。

マスト細胞活性化症候群になると、さまざまな物質がアレルギー反応を引き起こす。卵や蕎麦など、一般的なアレルゲン物質だけでなく、香水の匂いや皮膚への圧力だけでも強いアレルギー反応を引き起こす場合がある。

人によって症状は異なり、ジョアンナさんのような重い症状の場合、現在流通している薬では治療ができないほど深刻である。

ジョアンナさんは以前から、重度のマスト細胞活性化症候群に悩まされていたのだ。この病気のため、複数の食物はもとより、多くの人に、さらには両親にまで強いアレルギー反応を示していた。それだけでも十分辛いのだが、愛する夫のスコットさんにまでその矛先が向いてしまったのだ。

辛すぎる闘病生活

その後は苦難の連続であった。部屋の中に仕事から帰ってきたスコットさんが入るだけで、わずか数分のうちにジョアンナさんはじんましんや息苦しさを引き起こす。同じ部屋で会話をすることすらできないので、階をまたいだ別の部屋で、ビデオ通話をしながら同じテレビを見る。

愛する夫に会えなくなる辛さを、ジョアンナさんは語っている。

“I was now reacting strongly to my husband. Before this I had reacted to my parents, to many, many other people, but it was horrific when it became Scott.”
いまや夫にまで強く反応するようになってしまったのよ。これまでも両親や他の大勢の人に反応はしていたけど、彼に反応してしまうのが最も恐ろしいことよ。

スコットさんは、彼女の料理を作るなど、陰ながらの手助けはしているが、直接助けることのできないもどかしさを語っている。

“There’s not an easy way around this problem. One of the ways I can take care of her now is by not going to see her. I’m not going to endanger her life.”
この問題と向き合うのはまったくやさしいものじゃないよ。彼女を助ける方法は、彼女に会わないというものだからね。彼女の命を危険にはさらせないよ…

愛する妻を助ける方法が、妻に会わないというものとは、想像を絶するほど辛いものだろう。

それでも、未来をあきらめない

耐えがたく思われるほどの状況下にある二人だが、もう一度ともに暮らすという夢をお互いに忘れてはいない。病気は一生治らないかもしれないが、彼らはずっと愛し続けることを誓い合っている。

夫のスコットさんはこう語っている。

“We’re absolutely committed to one another and we’re going to wait as long as it takes to see if there is some kind of healing.”
僕たちは病気が治るまで、必ずお互い支えあうって誓ったんだ、たとえどれほどの時間がかかったとしてもね。

深刻な病気に苦しみながらも、強固な信念を持ちつつ、ジョアンナさんはこう語った。

“They don’t know if I will get well, and so we hope and we pray that I will”
いつ病気が治るかはわからないけど、私たちは必ず治ると信じ願っているわ。

“On our wedding day we made vows to each other that till death do us part. No matter what life brought.”
結婚する時に誓ったのよ。何が起ころうとも、私たちは死ぬまでずっと一緒だって。

“I can tell you that even if I have this until I’m 90 years old, I would be committed to my husband with that vow and still love him.”
宣言するわ。90歳までこのままだとしても、私は夫のそばで、夫を愛し続けます。

ジョアンナさんとスコットさんは、辛い日々を送りながらも、豊かな将来を夢見ている。

マスト細胞活性化症候群の治療法はまだ確立されておらず、彼女たちの穏やかな未来はまったく保障されていない。一刻も早く、この病気の治療法が見つかってほしい。一緒に過ごすというありきたりな、それでも二人にとっては夢のような日々が、この夫婦にもう一度訪れることを、心から願っている。

参照元:BBCWikipedia、Facebook[1][2]Twitter

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Haru

抽象性大好き男。できないことにしか挑戦しない、当たって砕けるタイプ。詰めが甘く成功を取りこぼすこと多々あり。自己紹介の始まりは基本「男なのに嵐好き」

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