海外へ行くと路上パフォーマンスをする、いわゆる大道芸人をよく見かける。その芸に感銘を受けたら、観衆たちは気持ちばかりの金額を置いてある缶などに入れるのだが、今”あるパフォーマンス”が物議を醸している。
赤ん坊を見世物に小銭稼ぎする夫婦
2月4日、マレーシアの首都クアラルンプールの路上ではこんな路上パフォーマンスが行われていた。
4、5人のロシア人グループはそれぞれに楽器を演奏したりしているが、そのメインとなっているのが父親にブンブン振り回される赤ん坊の姿である。生後4ヶ月とみられる赤ん坊は、オムツだけをつけた状態で両脚を掴まれ、上下左右に大きく揺さぶられている。
この動画をFacebookに投稿した男性は、「この虐待行為は許されるものではなく、警察に捕まえて欲しかった」と話している。そしてこれがきっかけとなり、ロシア人の父親(28)と母親(27)が虐待行為の疑いでマレーシア警察によって逮捕されることとなった。
虐待ではなくベビーヨガとの声も
2月1日にタイからマレーシアに入国したとみられる夫婦は、バックパッカーとして各国を旅していたという。
近年、旅先でこのようにパフォーマンスをし、旅行資金を稼ぎながら旅するスタイルが流行っていることから、彼らのことを「ベッグ(物乞い)パッカー」と呼ぶ傾向もある。
一方、今回の事件においてロシア人夫婦を擁護する声も上がっている。彼らが行なったパフォーマンスは虐待行為ではなく「ベビーヨガ」ではないかとの見方があるようだ。
こちらがベビーヨガの動画だが、皆さんはどう感じるだろうか。
30年前から研究を続け、ベビーヨガを提唱しているのはロシア人のインストラクター、レナ・フォキナさん。このベビーヨガで生まれ持った身体能力を早くから引き出してあげることができると力説するが、医師団は赤ん坊を不自然な動きで揺さぶることは危険極まりない行為だと、彼女の主張と真っ向から対立している。
日本でも「揺さぶられっ子症候群」で命を落とした乳児の報道を目にすることがあるが、新生児や乳児の体を過度に揺することで内出血などが起こることがあるという。
そんなリスクを考えると、親としてあるまじき姿だったのには違いない。今回のパフォーマンスは自分たちの旅行資金を稼ぐためだけの、浅はかな行為だったのではないだろうか。