認知症タイ人女性を8か月ぶりに保護
今年1月末、中国南西部の雲南省昆明でタイ人女性(59)が保護された。
認知症を患っていたこの女性は、昨年6月から約8か月間行方不明になっており、家族から捜索願いが出されていたという。
誰もが女性の生存を半ば諦めかけていたかもしれない。そんな矢先の信じられない出来事に、娘さんは喜びを隠しきれない。8か月ぶりの母親との再会に、膝まづき涙を見せる娘さんの姿が印象的である。
しかし、一体なぜタイで暮らしていたはずの女性が640km離れた中国で発見されたのだろうか。
近所の長男宅へ出かけ行方不明に
昨年6月12日、丘陵地帯で暮らすアカと呼ばれる少数民族出身の女性は、タイ北部チェンライ県の自宅から近所に住む長男の家へ出かけたまま行方がわからなくなったという。
それから8か月後の今年1月、中国で保護された女性は身分証明書を所持していたため、当局よりタイ領事館へ連絡が入ったようだ。そこで行方不明者として届出がされていた女性と一致し、今回の再会につながった。
女性は8か月間、露店の食べ物を乞いながらただひたすら歩き続けたという。
しかしその距離は少なくとも640kmだと報道されており、日本で言えば東京から中国地方と四国をつなぐ「しまなみ街道」までを徒歩で歩いたことになる。途中メコン川があるが、陸路で行く場合には途中ラオスやミャンマーの国境を通らなければならず、女性がどのように中国まで辿り着いたのか今のところわかっていない。
この8か月間で体重が20kg近く落ちてしまったという女性だが、無事保護され家族のもとに帰れたのは何よりである。2月15日、親子はタイのチェンライ県へ飛行機で戻ったという。
認知症との向き合い方を考える
今回の事件を受け、「認知症は疲労や痛みの感覚も麻痺する」「身分証明書を持っていたからよかったけど身元不明者として仮名で残りの人生を過ごす人もいる」などと、認知症との向き合い方を改めて考えさせられた人も多いようだ。
特に身内に認知症の家族がいる人たちにとって、そして高齢化が進む日本にとって、他人事ではないことであることだけはたしかだろう。
参照元:YouTube