食事を摂るのも忘れゲームに没頭
まずは、コチラの動画をご覧いただきたい。
パソコンの前にヘッドフォンを装着して座る少年。そして彼の横で、食事を口元まで運んであげる女性。
実はこの少年、自宅近くのネカフェ(ネットカフェ)に入り浸り、食事をとることも忘れるくらいゲームに依存しているというのだ。
そして、息子の体を心配する母親が考え抜いた結論が、ネカフェに食事を運び息子に食べさせることだった。
ゲームをやめさせられなかった両親
この動画が撮影されたのはフィリピン北部ヌエバ・エシハ州。そこで暮らすカリートくん(13)は2年ほど前からゲームに依存するようになったという。
学校へも行かず、ネットカフェに入り浸り48時間ものゲームセッションに没頭する息子を心配した母親リリーベスさん(37)は、カリート君が栄養失調にならないために食事を運ぶことにしたのだ。
リリーベスさんが食事を運んできても、視線を合わすわけでも会話をするわけでもなく、カリート君はただひたすら目の前のゲームに没頭している。時折、「トイレはない?」などと尋ねるが、本人はすぐさまヘッドフォンで耳を覆う。
これまでに何度もゲームをやめさせようと試みたカリート君の両親だが、全く効果はなかったという。コンピューターの前にゾンビのように座る息子に対し、「今はただ、彼の人生に何が起きても、母親の私が彼を愛し気にかけているということを知ってほしい」と話している。
全世界で増加する「ゲーム障害」とは
2018年6月18日、世界保健機構(WHO)はあらたな国際疾病分類(ICD-11)として、「Gaming disorder(ゲーム障害)」が正式に疾病として認定されたことを発表した。
以下のような症状が該当する。
・ゲーム時間・場所のコントロールの欠如
・日常生活よりゲームを優先してしまう
・悪影響があるがゲームをやめられない
これは何も若者だけの問題ではない。当初は若者に多かったとされる「ゲーム障害」だが、スマホが普及し、現在は40代や50代などの年齢層にも多くみられるという。
一息つくためや余暇にゲームをするのなら全く問題はないが、睡眠不足や不登校など日々の生活に支障をきたすようになると、それはもう「ゲーム障害」だと言ってもいいのかもしれない。そして、子供がここまで依存する前に何らかの手を打つことは、親の責任ではないだろうか。
今回の件においては、リリーベスさんに同情の声が寄せられる一方で、何としてでも息子にゲームをやめさせるべきだとの声が上がっている。